第251回 ピーター・ブラウン『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』

ピーター・ブラウン『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』

皆様、こんにちは。本日は、ピーター・ブラウン『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』(NTT出版)をご紹介したいと思います。

内容紹介

たいていの人はまちがった方法で学んでいる。学習と記憶について調べた実証研究によれば、我々が金科玉条のごとく信じてきた学習法の多くは、無駄な努力だ。

学ぶことが本業の大学生や医学生でさえ、最適とはとても言えない方法にしたがっている。

一方で、125年ほどまえに始まったこの分野の研究では、近年とくに成果があがっている。あまり効果はないのに広く普及したやり方に代わる、効果抜群の学習法の実証研究が進み、理解が深まっているのだ。

昔ながらのやり方はいまも理論や、教訓や、直感のなかで生きているが、実は落とし穴がある。

最も効果的な学習法は直感に反するのだ。

ピーター・ブラウン『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』

今まで取り組んできた学習法が、すべて間違いだと言われたら、あなたはどう思うでしょうか?

教科書やノートにひたすら線を引き、その内容を暗記する。頭に入るまでテキストを何度も読み返す。もしくは、覚えるべき知識を際限なくノートに書き続ける。

驚くことに、そして残念ながら、私たちが「常識」として考えていたこれらの学習は、どれもそれほど効果がないことが、最近の研究でわかってきたと言います。

「効果がない」という表現は適切ではないかもしれません。

このような集中学習・反復学習は、短期的にはかなり高い成果をあげます。テスト前の一夜漬けなら、これらの学習法の方が適しているでしょう。

しかし、この学習法で、学びたい技術や知識が本当に身につくかと言うと、甚だ疑問です。

結局、学びたい技術や知識がきちんと「身につく」、言い換えれば、それらが長期記憶に保存されるかという観点からすると、それら集中・反復学習は、あまり効果がないのです。

本書の内容を簡単にまとめるのであれば、「目先を追うな」「急がば回れ」という言葉に集約できます。

一見効率が良さそうに見える反復学習よりも、一度にいろいろな内容を学ぶ「多様学習」のほうが、記憶に残りやすい

間髪入れずに知識を詰め込む集中学習よりも、ある程度感覚を空けて、忘れた頃にもう一度学習する「間隔学習」のほうが記憶の定着に効果的だ。

筆者が語るように、本当に効果的な学習法とは、私たちの直感に反するものです。

ぜひあなたも、本書を読んで、学びに対する「常識」をもう一度見直してみてください。そして、本当に効果的な学習法を身につけましょう。

学びを本業とする学生はもちろん、まだまだ学ぶことが多いビジネスパーソン、さらには部下を持ち今度は自分が教える立場になった管理職など、あらゆる人におすすめの一冊です!!

感想

これまで「常識」とされてきた学習法は、いずれもそれほど効果的ではない。本当に効率的な学習法とは、むしろその正反対に位置にある。

本書では、終始こんな感じのことを説明しています。それが正しいことを示す科学的根拠も随所に取り上げられているので、どうやら間違いなくそうなのでしょう。

それでは、どうして私たちは未だに、これまでの短期的な成果を求めるような学習法に固執しているのでしょうか?

私なりに考えた結果、その理由は2つあるのではないかと思います。

まず一つは、現代が短期的な成果を求める時代だからということです。

これほどまでにグローバル化が進展し、変化のスピードがはやくなった時代は、これまでになかったでしょう。

そういう時代においては、企業も必然「即戦力」と言われるような人材を求めます。つまり、社会全体が短期的な成果を求める時代なのです。

企業がそのような姿勢なら、当然それに合わせるように学校も短期的な成果を追求するようになります。その結果として、短い期間に、大量の知識を詰め込むような学習法が定着してしまうのではないでしょうか。

もう一つの理由は、集中・反復学習では、短期的な成果があがりやすく、成長を実感しやすいからではないかと思います。

このような学習法は、長期的にきちんと技術・知識が身につくかは疑問が残るものの、短期的に成果をあげやすく、成長を実感しやすいのは事実です。

逆に言えば、筆者たちが本当に効果的と語る学習法は、長期で見れば、確実に効果的なものの、短期的には成果があがりづらいのです。この点は、筆者たちも強調しています。

自らの成長が実感できないようでは、当然のことながら、モチベーションを保つことができません。

たとえ好きな勉強をしていたとは言え、「できなことをできるようにする」「分からないことを分かるようにする」というのは、大変な作業です。

そうなれば、人々が目先の成長も求めるのは必然です。実際私もそうでした。


 

本書で説明されている学習法は、いずれも時代の流れに逆行したり、人間の行動意欲に逆らったりと、取り入れるのがなかなか難しい代物なのかもしれません。

しかし、筆者は言います。「本当に効果がある学習法とは、直感に反するものだ」と。

私は、本書に巡り会えたことを本当に幸せだと感じています。

目先の利益に惑わされることなく、もっと長期的な目線で学習と向き合わなければならない、そんな大切なことを学びました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

文句なしで星5をつけます。これまでの学習に関する「常識」を一気に覆してくれる素晴らしい内容でした。

本書は全8章で構成されているのですが、第1章と各章の最後の部分は、内容のまとめ部分になっています。少々長い本ですので、全部は無理でも、その部分だけはぜひ読んできいただきたいです!

こんな人におすすめ

  • 「なかなか学習の効果が現れず、悩んでいる」という人
  • 「効果的な学習法を学びたい」という人
  • 「最先端の教育研究に触れてみたい」という人

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