第250回 安西洋之、八重樫文『デザインの次に来るもの』

安西洋之、八重樫文『デザインの次に来るもの』

皆様、こんにちは。本日は、安西洋之、八重樫文『デザインの次に来るもの』(クロスメディア・パブリッシング)をご紹介したいと思います。

内容紹介

デザイン思考は、どんなイノベーションでも起こせる魔法のツールではないので、その適用の場と用法を理解して適切に用いなければ、効果は得られません。

もちろん、デザイン思考に関する議論だけで、「デザインの知見は経営に活きない」と判断してしまうのは早計です。

とはいえ、「じゃあ、経営に活きるデザインの知見とは何?」と言ったときに、ビジネスに関するWebや雑誌記事をはじめ、ビジネスパーソンがアクセスできる情報源のなかにほとんどその情報がないことに気づきました。

第250回 安西洋之、八重樫文『デザインの次に来るもの』

製品の質に差がなくなり、差別化できない。モノが売れない。

そんな八方ふさがりの状況の中、今、「デザイン」がビジネスパーソンの間で注目を集めています。

「デザイン」というと、モノの色やカタチなど、製品の外観に関する創作活動としての認識が未だ根強いですが、実はそうではありません。

今、ビジスネパーソンたちが注目しているのは、もっと広い意味での「デザイン」。その対象はモノだけにとどまらず、今では、問題解決の手段として、あるいは企業戦略をつくりあげる手段として、「デザイン」は利用されています。

そのような考え方が徐々に広まっていき、「デザイン」あるいは「デザイン思考」は、イノベーションを生み出せるのではないか、という期待が、今私たちの間で高まっているのです。

しかし、現代のこのトレンドは、「デザイン」に対し過剰な期待を込めてしまっていたり、また逆に、「デザイン」を過小に評価している部分があるのではないか、と筆者は言います。

イノベーションを起こすために、「デザイン」は確かに有効です。

しかし、「デザイン」さえ取り入れれば、イノベーションが起こせるかというと、必ずしもそうではありません。これは考えれば当たり前のことです。

結局大切なのは、デザインに関わる戦略だけではなく、「デザインとそれ以外の多様な戦略の組み合わせ」を柔軟に行っていけるかどうかなのです。

本書の主な内容は、「意味のイノベーション」の重要性と、それを起こす方法についてです。「意味のイノベーション」とは、「製品の価値を再定義すること」と言い換えることもできるでしょう。

私たちの最終的な目標は、あくまで「イノベーションを起こすこと」であり、「デザイン思考を身につけること」ではありません。

本来であれば、イノベーションの可能性を高めてくれるはずであった「デザイン」に、あまりにも固執してしまえば、今度は逆に、思考が凝り固まってしまい、見えるものも見えなくなってしまいます。

繰り返しますが、「デザイン」はイノベーションのために確かに有効です。しかし、本当に大切なのは、「デザインとそれ以外の多様な戦略を組み合わせること」なのでしょう。

『デザインの次に来るもの』というタイトルも、筆者のそういった思いからつけられてものかもしれません。

感想

人々は、実利的な理由だけでなく、深い感情的な理由や、心理的・社会文化的な理由からモノを買う。つまり、人々は製品を買うのではなく、その意味を買っている。

「意味のイノベーション」とは、言い換えれば「製品の価値を再定義すること」です。

この説明のために、本書で挙げられていたのは、ロウソクの例でした。

電気のない時代、夜はロウソクで灯りをともしていました。しかし、一度電球が開発されれば、ロウソクは不要になるはずです。

しかし実際は、停電時の緊急用を除いても、未だにロウソクは使われています。これは一体何故なのでしょうか?

それは、人々が、暗い空間に揺れるロウソクの火に、おしゃれな雰囲気を感じているからなのでしょう。

かつては、ロウソクの価値とは「灯りをともすこと」だったはずですが、時代を経てその価値は「おしゃれなムードを演出すること」に再定義されたのです。

 

「意味のイノベーション」とはまさにこのことです。

そして筆者曰く、日本の中小企業にとっては、この「意味のイノベーション」が今後ますます重要になっていくのだと言います。

その理由は、「意味のイノベーション」には、それほど技術が必要でないからです。ロウソクの例などはまさにその典型で、電球とロウソクでは、断然ロウソクの方が低い技術でつくれます。

製品の内容やパッケージを全く変えることなく、意味を変えるだけで起こせるのが「意味のイノベーション」なのです。

さらに言えば、この「意味を変えること」も、現代のソーシャルメディアの爆発的な普及で、かつてないほどにやりやすくなっています

画期的なアイデアや製品を生み出すよりも、この「製品価値を再定義する」という見方が、今後大切になっていくのかもしれません。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

ぜひたくさんのビジネスパーソンに読んでいただきたい一冊でした。

「デザイン」と聞くと、なんとなくクリエイティブな気がして、自分には縁がない・無理だと思いがちですが、そんなことはありません。さらに言えば、現代はビジネスパーソンにこそ「デザイン思考」が必要なのです。

「手間なく、簡単に学べる」という内容ではないですが、ぜひご一読されることをおすすめします!

こんな人におすすめ

  • 「イノベーションを起こす方法を学びたい」という人
  • 「ビジネスパーソンが学ぶべき『デザイン』について知りたい」という人
  • 「『デザイン』がなぜ重要なのかを知りたい」という人

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