第248回 吉川洋『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』

吉川洋『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長

皆様、こんにちは。本日は、吉川洋『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』(中央公論新社)をご紹介したいと思います。

内容紹介

人口減少は大きな問題だが、しかしその一方で、日本経済の「成長」については、「人口減少ペシミズム」が行きすぎている。

人口が減っていく日本経済に未来はない、といった議論が盛んになされるが、これは間違っている。

先進国の経済成長は、基本的に労働力人口ではなく、イノベーションによって生み出されるものだからである。

吉川洋『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長

最近、テレビや新聞、ネットニュースなどでも「今、日本の人口が減少している」ということがよく報道されます。

それらはたいてい、なんだか大変なことが起こっているかのように報道されるため、日本の人口減少はおそらく大変な問題なのだろうと、あなたもなんとなく思っていることでしょう。

しかし、改めて考えてみると、具体的に人口減少の何が問題なのでしょうか?

まず考えられるのが、社会保障と財政の問題です。かつてないほどに高齢化が進んだ今の日本では、なんと国の予算のおよそ3割が社会保障費にあてられています

当然ですが、これらの費用を負担するのは主に生産年齢層の人々です。その人々が減少してしまうと、国民1人あたりの社会保障費の負担が増大します。それが行きすぎれば、社会保障費を負担できなくなる可能性もあるのですから、これは相当深刻な問題でしょう。

また、他に考えられる問題は、地方の市町村が消えてしまいかねないという問題です。地方の市町村では、若年層の人口流出が深刻な問題になっています。ある調査によれば、今後25年以内に全国の市町村の約3割が消滅してしまうという報告まであるのです。


このように、日本の人口減少は、確かに深刻な問題です。場合によっては、「日本は衰退の一途を辿り、このままでは日本は消滅してしまう」などと報道されることすらあります。

しかし、こと経済成長という観点にだけ絞れば、人口減少はそれほど深刻な問題ではないと筆者は語ります。

なぜなら、先進国の経済成長は人口の成長ではなく、1人あたりのGDPの成長によってもたらされるからです。

そして、その1人あたりのGDPを成長させるのが「イノベーション」

先進国にとって、人口減少という問題はある意味避けて通れない問題なのかもしれません。そんな中で、日本は今後どのように経済成長を成し遂げていくべきなのでしょうか?

本書を通して、ぜひあなたも、人口減少時代に、日本がどうあるべきかを学んでください!

感想

今、日本に限らず、多くの先進国で人口減少が問題になっています。

先進国で、人口減少が発生してしまう原因は簡単で、「子供が生まれないから」です。

では、なぜ先進国ではなかなか子供が生まれないのでしょうか?

その理由は様々あると思うのですが、その一つとして考えられるのが、子育てにかかる費用の問題です。(筆者の主張ではなく、私個人の見解です。)

子供を産むことでかかる費用は大きく、直接費用機会費用に分けられるでしょう。

直接費用とは文字どおり、子育ての際、直接的にかかる費用のことです。食費や衣類代はもちろん、教育費や医療費なども含まれます。

もう一つ重要なのが、機会費用です。個人的には、この機会費用の増大が、先進国で子供が生まれにくくなっている原因なのではないかと考えています。

機会費用とは、ある行動を選択することによって失われる、他の選択可能な行動のうちの最大利益のことを言います。

少々分かりにくいですが、この話の場合では、子供を産まなかった場合に得られる利益のことです。

もし子供を産まないという選択をしたらどんな利益があると思いますか?

子育てに費やしたであろうお金も時間も全部自分のために使えるのです。

そしてこの機会費用は、一般に、所得が増えれば増えるほど、増大すると考えられます。つまり、お金があればあるほど、子供を持たない選択をした時に、できることが増えるため、人は子供を持たないという選択をしやすくなるのです。

 

このように考えれば、先進国での人口減少、もっと厳密に言えば、出生率の低下は、ある意味当然の現象なのだと考えられるのではないでしょうか?

あまりにも子供を持つことに無関心・消極的になるのは良くないことなのかもしれません。

しかし、見方によれば「人々が豊かであるからこそ、人口が減っていく」という見方もできなくはないのです。

テレビや新聞の偏った報道に惑わされることなく、物事をより広い角度で見ていく目を養わなければならない。本書を読んでそう感じました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

大変興味深い内容の本でした。経済関連の話に慣れていない人にとっては、少々難しい内容かもしれませんが、今後の日本経済を考える上でも、多くの人に読んでいただきたい一冊です。

こんな人におすすめ

  • 「今後の日本経済について学びたい」という人
  • 「今の人口減少問題について考えてみたい」という人
  • 「イノベーションの重要性について学びたい」という人

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