第226回 山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

皆様、こんにちは。本日は、山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社)をご紹介したいと思います。

内容紹介

グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込む、あるいはニューヨークやロンドンの知的専門職が、早朝のギャラリートークに参加するのは、虚仮威しの教養を身につけるためではありません。

彼らは極めて功利的な目的のために「美意識」を鍛えている。

なぜなら、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない、ということをよくわかっているからです。

山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

今、世界のエグゼクティブたちが「アート」を学んでいます。

グローバル企業の幹部候補生たちの多くが美術大学院に通い「クリエイティブリーダーシップ」のトレーニングを受けています。ニューヨークやロンドンのビジネスパーソンたちが美術館で絵画を鑑賞しているのです。

「ただでさえ仕事が忙しいのに芸術を学ぶ暇なんて…」と思っている多くの日本人にとって、このようなトレンドは理解しがたいでしょう。当然、本書のタイトルにもなっている疑問が浮かんできます。

「世界のエリートはなぜ『美意識』を嫌えるのか?」

その理由は主に3つあると筆者は説明しています。

1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある

「論理的・理性的である」ということは、言い換えれば「同じ情報からは同じ結論しか導かれない」つまり「誰がやってもだいたい同じ結論が出てくる」という意味です。

競合他社との差別化が必須なビジネスの世界で、同じような結論しか導かれないというのは問題です。

また、現代はあらゆるものが複雑化した世界だと言われます。あらゆる因子が複雑に関係し合っている状況を、無理やりに単純化・抽象化して論理的に解決しようとすると、途端に合理的な意思決定ができなくなります。

2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある

高度に発展を遂げた世の中では、消費行動の意味合いが変わります。

人々は、単に「必要だから買う」のではなく、その商品を手にすることで「自己表現」をしようとしているのです。

あなたがAppleの製品を買うのも、「欲しい機能が備わっているから」という理由ではなく、「オシャレだから」「かっこいいから」という理由なのではないでしょうか?

このように、高度の経済発展が進んだ世界では消費ビジネスがファッション化します。そのためリーダーたちの「美意識」の差が、企業の競争力を大きく左右するのです。

3. システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

現代のような変化の早い世界では、「法律の整備が追いつかない」という問題が発生しています。

明文化された法律だけに従うという、実定法主義は、結果として倫理を大きく踏み外してしまう恐れがあるのです。

だからこそ、明文化された法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断する「美意識」が求められるのだと筆者は言います。


 

このように、これまでの「論理」や「理性」だけに頼った意思決定は限界を迎えています。これからは誰もが必須の教養として「美意識」を身につけなければならない時代なのです。

本書を通して、「美意識」の大切さ、そして「美意識」をどう鍛えるべきなのかを学んで行きましょう!

感想

本書の内容は実に興味深いものでした。ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思います。

私が特に興味を持ったのは「どう『美意識』を鍛えるか?」という話です。

本書を読み進めていくと、これからの時代は「美意識」がどうやら大切らしいということは理解できるでしょう。そこで疑問になるのが、「どう『美意識』を鍛えるのか?」について。

筆者はこの疑問に対し、4つの具体的な方法を提示していました。

  1. 絵画を見る
  2. 哲学を学ぶ
  3. 文学を読む
  4. 詩を読む

こう列挙されると、これらを趣味としている日本人は確かに少ない気がします。少なくとも私の周りにはいません。

特に少ないと感じるのは、「哲学を学ぶ」という人です。筆者の話によると、欧米のエリートたちは必須の教養として、大学時代に古今東西の哲学をみっちり学ぶそうです。

欧米の有名大学では文系・理系を問わず哲学が必修になっているところもあります。

しかし、日本ではどうでしょうか?

日本で「私は哲学を専攻しています。」などと言ったら、「世捨て人」とも言われかねません(笑)

この辺に日本と欧米では教育に関する考え方が違うのだと実感させられます。

近年、日本企業がグローバルな競争力を低下させている要因に、「美意識が足りないから」というのは確かにあるのかもしれません。


 

ある調査によると、ノーベル賞受賞者は「芸術的趣味を持っている確率が高い」ことが明らかにされています。具体的には、ノーベル賞受賞者は、一般人と比較した時、2.8倍も芸術的趣味を保有している確率が高いのです。

ここからわかることは、私たちが思っている以上に「サイエンス」と「アート」はかけ離れた存在ではない、いやむしろ、相互に関係し合っているこということです。

じっくり絵を描いたり、哲学書や有名文学を読むのは時間がかかり、仕事のパフォーマンスを上げるという観点では、あまり生産的な行為とは言えないかもしれません。

しかし、ビジネスで結果を出したいのであれば、功利的なテクニックに頼るばかりでなく、芸術的な教養として「美意識」を鍛えることが大切なのだと学びました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

とても興味深い内容でした。これまで、美意識や芸術に関する知識は、教養というよりも「あったらいいな」程度の雑学のように扱われてきました。しかし、これからは「美意識」が必須の教養になる時代になることを本書は教えてくれます。

本書を読めば、きっと「ちょっと芸術につてい勉強してみようかな!」と思えるはずです。ぜひ多くの人におすすめします。

こんな人におすすめ

  • 「なぜこれから『美意識』が大切なのかを知りたい」という人
  • 「『美意識』の鍛え方を知りたい」という人
  • 「今後、グローバルな世界で活躍したい」という人

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