第194回 村田智明『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』

村田智明『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』

皆様、こんにちは。本日は、村田智明『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』(CCCメディアハウス)をご紹介したいと思います。

内容紹介

今求められているのは、単なるビジュアル領域の成果だけに限りません。

プロダクトにはエンジニアが携わるようなプロトコル(手順)領域、色や形が作用する心理領域、経営や社会的つながりを考慮するソーシャル領域など、幅広い知識をもとにデザインが施されています。

すでにデザインは、専門領域を学んだデザイナーだけのツールではないのです。

流行や情報に翻弄されることなく、人間本来の行動価値を見直していく時期にある今、私たちはもっと、複合的な知恵を結集しなければ解決できないところに差しかかっていると言えます。

村田智明『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』

「デザイン」というと、あなたはビジュアルの美しさや色合いなど”外観”に関する造形のことを連想するのではないでしょうか?

もちろん「流行のエッセンスを外観に取り入れること」はデザイナーの仕事です。

しかし、だからと言って「ビジュアルセンスや造形力さえあればデザインができる」と考えるとすれば、それは間違いだと筆者は語ります。

本書で主張している「行為のデザイン」とは、人の行動に着目し、改善点を見つけてより良く、美しくしていこうとする手法のことです。

ユーザーが立ち止まることなく、滑らかに目的の行為を進められるデザインこそが「良いデザイン」だと言います。

例えば、あなたが外から帰ってきて、ジャケットとズボンを脱ぐ場合を考えてみましょう。

ほとんどの人は、まずジャケットを脱いでからズボンを脱ぐのではないでしょうか?

しかし、ここで問題が起こります。

ジャケットを脱いだ後にズボンを脱ごうとすると、ハンガーにはすでにジャケットがかかっているため、ズボンはかけづらくなってしまいます。

「ジャケットをかける、ズボンをかける」という行為をスムーズに進めたいはずなのに、自然に行動するとジャケットが邪魔で行為が中断されてしまうのです。

これは「ジャケットかける→ズボンをかける」という時間軸に沿った人間の行動に注目していないために起こった問題です。

もし下の図のような製品を開発することができればこの問題を解決です。

こうして考えていくと、デザイナーではなくても問題解決や製品開発に従事する人は、より広い意味での「デザイン」に関わることになります。

現代においては、デザイナーだけが考えるデザインは時代遅れです。

本書を通して、「行為のデザイン」を学び、新しい発想と創造の力、状況を俯瞰する力を身につけましょう。

感想

「行為のデザイン」においては「究極の理想は、立ち止まらないデザイン」だと筆者は述べていました。

そんな「行為のデザイン」に着目しユーザーの立場になって考えた、とても画期的な製品を最近発見しました。

それが以下のリンクで紹介されている「濡れた面を内側にしまう傘」です。

参照:逆転の発想で雨の日の憂鬱を解消してくれる傘「Suprella」

従来の傘はたたんだ時に、当然濡れた面が外側に来るためバッグや服を濡らしてしまい嫌な思いをさせられていました。

自分の物が濡れるだけならそれほど問題ではないのですが、人の多い電車やバスなどで他の人を濡らしてしまっては大変です。

しかし、この「Suprella」なら濡れた面を内側に来るので問題ありません。

また、個人的にすごく便利だと感じたのは、とてもスムーズに車に乗り込めるということです。

従来の傘は、車に乗り込んだ後に傘をしまうことが難しく、「傘をしまう→車に乗り込む」という順で行動せざるを得ません。

つまり一瞬であるとはいえ、雨に濡れてしまうのです。

リンク先に動画を見ていただければわかるのですが、この「Suprella」であればその心配はありません。

図のように傘をしまう時の軌道がより狭いため、スムーズに開閉ができ、車に乗り込んだ後でも傘をしまうことができます。


 

本書を読んだ直後に、ちょうどこの傘を目にして、「これこそが行為のデザインだ!」と思いました。

傘なんて今まであの形しかないだろうと考えていましたが、時間軸に沿った人間の行動に着目すれば、こんなにも素晴らしい製品が生み出せるのです。

傘が最初に発明された年など知りません。しかし、相当昔に開発され、相当長い間たくさんの人に利用されてきたことは想像がつきます。

そんなにも身近な「傘」でさえ、よく考えてみればそれほど合理的なデザインになっていなかったのです。

ここからわかることは、問題解決や製品解決に携わる場面では、今まで当たり前だと考えていてことを一旦忘れ、人間の行動に着目して考えるべきだということでしょう。

確かに、「デザイン」はもはやデザイナーだけの仕事ではないようです。

「行為のデザイン」という新しい考え方を学びました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

大変面白い内容でした。筆者の語るとおり、今やデザインはデザイナーだけの仕事ではないのだと感じました。

昨今、ロジカルシンキングや仮説思考、システム思考などの思考法や問題解決法が話題になっていますが、この「行為のデザイン」という考え方も非常に重要な問題解決法だと思います。

問題解決や製品開発に従事する人には是非おすすめしたい一冊です。

こんな人におすすめ

  • 「問題解決や製品開発の仕事をしている」という人
  • 「ユーザーが喜ぶデザインを学びたい」という人

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