第168回 羽生善治『人工知能の核心』

羽生善治『人工知能の核心』

皆様、こんにちは。本日は、羽生善治『人工知能の核心』(NHK出版新書)をご紹介したいと思います。

内容紹介

人類はその長い歴史のなかで、「高い知性を持っているのは人間だけ」という環境を前提として生きてきました。

しかし、今や「人工知能は人間を超える知性だ」とか、逆に「人間にはできるが人工知能にはできない」などの、様々な言説が飛び交っている時代です。おそらく私たちは、人間とは切り離した形で、新たに「知性」を定義する必要があるのです。

羽生善治『人工知能の核心』

かつて多くのプロ棋士たちが「コンピュータがプロ棋士を負かす日はこない」と宣言していました。

そんな中、その日が来るのをほぼ正確に予測していた棋士がいます。

それが本書の筆者である羽生善治氏です。

人工知能の発展は急速に進んでおり、つい最近ではコンピュータが現役の名人に勝利したことが話題になりました。

今、世界では「テクノロジー革命」と呼ぶべき事態が進んでいます。

人工知能、ロボット、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などが爆発的な発展を遂げ、私たちの生活をまさに変えようとしているのです。

これから先、人工知能をはじめとしたこれらのテクノロジーの進化が止めることはないでしょう。

一説によると、2045年には、コンピュータが全人類の知性の総和を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達すると予測されています。

チェスや将棋、クイズを舞台に、今まで我々は「人間vs人工知能」という対立構造を築いてきました。

しかし、人工知能がますます発展するこれからの時代では、そのような単純な対立構造ではなく、人間と人工知能の共存関係を築かなければならないのでしょう。

「人間にしかできなことは何か」。我々をそのことについてもっと真剣に考えるべきなのです。


 

本書を書くにあたり、羽生さん自身が人工知能開発の最先端と呼ばれる地域に飛び回って取材をしたそうです。

本書を通して、日本が世界に誇る頭脳である羽生さんが、その取材を経て、人工知能のいかに対峙したのか。

そして、人工知能がますます発展するこれからの時代、我々はいかに人工知能と共存していくのかを学びます。

感想

人工知能との共存を図る上では、人工知能の判断が「絶対である」と信じないことが重要なのではないかと、筆者は述べていました。

通常、人工知能は過去の膨大なデータをもとに判断を下します。

そのため、基本的には合理的な意思決定がなされるのですが、もちろん例外もあるわけです。

まず、この変化の激しい時代において、これから起こることが過去の事例に縛られる必然性はありません。

つまり、過去には全くなかったようなことが起こっても不思議ではないのです。そうなれば、過去のデータをもとにした意思決定はあまり役に立たないのではないかという意見もあります。

そしてこれは個人的な考えですが、それ以上に問題なのが、人間は必ずしも合理的な意思決定のみをするわけではないということです。

人工知能によって膨大な量のデータが解析され、最も合理的であると判断された結果が出されます。

それを素直に実行できる場合は問題ないのですが、「確かにそうなんだけど…」と思うような結果が出ることもきっとあると思うのです。

筆者もこの点には言及していて、人工知能には「恐怖心」がないと言っていました。

「恐怖心」がないため、人間同士の対局では絶対に指せないような一手を平然と指すのです。

「本音と建前」という言葉があるように、我々は必ずしも本心を話すわけではありませんし、必ずしも合理的な行動をとるわけではありません。

そう考えると、人工知能の出す答えは意思決定の一つの参考にして、最終的な決定は人間が行うというのが、これからしばらくの間は理想的なのではないかと感じます。

(そう遠くない将来に人間のような思考ができたり、人間の知能では及びもしないほど合理的な意思決定ができる人工知能が生まれると思いますが…)

実際に、海外のチェスの大会などでは、人間とコンピュータのタッグマッチ形式が導入されることもあるそうなのです。

急速に発展しつつあるとは言っても、人工知能はまだまだ発展途上です。

もうしばらくの間は人工知能が「絶対である」と過信しすぎることなく、お互いに知恵を出しあうという関係が望ましいのだと感じます。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

プロ棋士である羽生さんが、人工知能についてどのように考えているのかを知れる良い本でした。

「人工知能に興味がある」という方には是非おすすめします。

こんな人におすすめ

  • 「人工知能について学びたい」という人
  • 「これからの人間と人工知能の関係について考えたい」という人
  • 「人工知能に対する羽生さんの考えを知りたい」という人

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