第159回 ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』

ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』

皆様、こんにちは。本日は、ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』(文藝春秋)をご紹介したいと思います。

内容紹介

わたしたちはかつてなく裕福になったというのに、なぜ、1980年代以降、以前にもまして懸命に働いているのだろう。

はびこる貧困を一気に解消するだけの富があるというのに、なぜ数百万の人が今も貧困の中に生きているのだろう。

なぜ所得の六割以上が、どこの国に生まれたかによって決まるのだろう。

ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』

今日、我々は科学技術や医療の発展により、かつてないほど豊かな生活を手に入れました。

今や一人当たりの所得は1850年のなんと10倍に増えたというのです。

また、平均寿命は1900年の倍以上に伸び、栄養失調に苦しむ人は1990年の3分の2以下になりました。

これほどまでに豊かな現代は、中世から見ればまさに「ユートピア」です。

しかし一方で、現代人の多くがこれほどの富を手にしながら、どこか満足しきれていないという状況も事実です。

「過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?」。筆者はその理由を以下のように説明していました。

機械やロボットの発達により特に製造表における生産性は多く向上しました。しかし、同時にそれまで人間が行なっていた仕事を機械やロボットが代替するようになった、言い換えれば、雇用を奪っていったのです。

経済のサービス化が進むと、機械にはできないような特別な能力を持った人のみが富を独占する時代がやってきます。筆者はこれを「勝者が独り勝ちする社会」と呼んでいました。

現代はかつてないほどに所得格差が拡大している時代です。

富の絶対量ではなく、その不均衡な配分が不幸の原因だと筆者は述べていました。

さらに残念なことに、今後はAI(人工知能)の発展によって、その傾向はさらに加速すると言えるでしょう。

AIがより高度な人間の仕事を代替するようになり、特別な能力を持った人にますます富が集中していってしまうのです。


 

それでは、特別な能力を習得できなかった人はわきに追いやられるばかりで、富の不均衡を是正することはできないのでしょうか?

その解決策は、「金と時間の再配分」そして「開かれた国境」であると筆者は語ります。

正直なところ、いずれの主張も現代人にとっては受け入れがたいものですし、簡単には実現しないと感じました。

しかし、これはあらゆることに言えますが、今の常識は、かつての非常識なのです。

AIの発展に伴い、所得格差がますます拡大するであろう今後の世界のあり方について考えます。

感想

筆者は、所得格差の是正には「ベーシックインカム」の導入が有効だと主張していました。

「ベーシックインカム」とは、政府がすべての国民に最低限の生活に必要とされる額の現金を無条件で支給する制度のことです。

合理的な制度にも思えますが、この考えに対しては批判が様々になされていることも事実です。

  • 「最低限の生活が保障されれば、働かない人も現れるのではないか」
  • 「特に貧困層はマネーリテラシーがないから、無駄遣いするのではないか」
  • 「その莫大な予算は財政を圧迫するのではないか」

などが主なものでしょうか。

しかし実際にはこれらの批判すべてが、そもそも全く問題ではない、もしくは解決しうるものだと筆者は述べていました。

それについての詳しい解説は、ぜひ本書を読んでみてください。


 

筆者は本書の最後で、次のような言葉を残していました。

図太くなることだ。

人が語る常識に流されてはいけない。

世界を変えたいのであれば、わたしたちは非現実的で、無分別で、とんでもない存在になる必要がある。

思い出そう。かつて、奴隷制度の廃止、女性の選挙権、同性婚の容認を求めた人々が狂人と見なされたことを。だがそれは、彼らが正しかったことを歴史が証明するまでの話だった。

いくらベーシックインカムが合理的で問題なく実行しうる制度であることを説明されても、やはり快く受け入れられないのが現実だと思います。

それは今の常識と大きくかけ離れた考えだからでしょう。

しかし引用文にもある通り、奴隷制度の廃止、女性の参政権、同性婚の容認などはいずれも当時としては非常識極まりない考えだったのです。

今振り返れば、そのように人種・性別を差別する人こそが狂人です。

そうだとすれば、そう遠くない未来では、ベーシックインカムを認めない人間こそが狂人とみなされるのかもしれません

ましてやこの変化の激しい時代に、「今日の常識は明日も常識」になる保証はないわけです。

他人事ではない問題として、今後の世界のあり方を自分なりに考えなければならないのだと感じました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

AIが発達するこれからの時代を考える上で、ぜひ読んでおくべき書籍だと感じました。現代はあらゆる物事が凄まじい速さで変化する時代だと言われています。そうであれば、今日の常識が明日も常識であり続ける保証はないわけです。筆者が語るように「人が語る常識に流されてはいけない」と感じさせられる内容でした。

こんな人におすすめ

  • 「ベーシックインカムという制度に興味がある」という人
  • 「人間とAIの共存について考えたい」という人
  • 「所得格差拡大の問題について考えたい」という人

人気ブログランキングに参加中です。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です