第132回 水越孝『統計思考入門』

水越孝『統計思考入門』

皆様、こんにちは。本日は、水越孝『統計思考入門』(プレジデント社)をご紹介したいと思います。

内容紹介

統計をよりよく使うためには、技術に関する理解が不可欠です。ただ、多くの読者にとって統計学は決して身近な学問ではないでしょう。そこで、まずは統計の背景にある考え方やプロセスを理解することから始めてください。そして、できる限りいろいろな場面で実際に応用してみてください。

着眼点をずらしてみたり、異なるプロセスを適用したり、あるいは対象との距離を変えてみてください。視点が異なるだけで、ものの見え方がずいぶん違うことに気がつくはずです。

水越孝『統計思考入門』「はじめに」より

最近、「統計学」がビジネスパーソンの間で注目されています。

書店に行けば、統計学をビジネスに応用させた内容の書籍は多く、実際につい最近、統計学を扱った書籍がベストセラーになったほどです。

しかし、なぜこれほどまでに「統計学」が注目されるのでしょうか?

もちろん、先端的なビジネストレンドに触れておきたいという心理もあります。しかし、一番大きな要因は、膨大な情報から疎外されることへの恐れと、有用な情報を見逃せないというプレッシャーではないかと筆者は語ります。

情報化が高度に進んだ現代では、日々膨大な量の情報が更新されていきます。多くのビジネスパーソンが、それらの情報に乗り遅れたくないという恐れと、そこから新たなビジネスチャンスを見つけなければならないというプレッシャーを感じているのです。

そして、その恐れやプレッシャーをはねのけるために「膨大な情報の中から効率よく正解を見つけ出す力をつけたい」という切実な思いがあります。

そのために「大量のデータの中から、ある法則性を導き出す」ための「統計学」を学ぶのです。


 

皆様の中にも、この一種の”統計学ブーム”にあやかって、統計学関連の書籍を読んだことがある人もいるでしょう。

そこで質問なのですが、その本を読んで統計学についての理解は深まったでしょうか?さらに言えば、学んだ知識をビジネスの現場で活かせたでしょうか?

おそらく、ほとんどの人の答えは「ノー」のはずです。

実際、「統計学」は非常に難しい学問だと感じます。専門書を手にしても、難解な数式が並ぶばかりで、それが意味することを理解するのは容易ではありません。無論、それを現実に応用することも容易ではないのです。

そのため、本来は分析したいデータがあって適切な分析手法を学ぶはずが、学んだ分析手法に合わせてデータを用意しなければならないという本末転倒な事態になりかねません。

そこで本書では、統計学の基本的な考え方をまず学び、それをビジネスに応用させた実例を見ながら、統計的なアプローチの手法を学びます。

感想

本書を通して、ビジネスにおける統計的なアプローチの手法をいくつか見ることができました。いずれも、実例を交えて解説しているので、非常に分かりやすかったです。

全体を通して感じたのは、「統計学はあくまで物事の考え方のひとつにすぎない」ということです。

このことについては筆者自身も言及していました。

統計的なアプローチでは、データを見る視点を変えると、同じデータであっても全く異なった見え方をするものです。

このように、同じデータであってもより多様な見方が可能になるのが、統計学の優れている点だと筆者は述べていました。

しかし、逆に発想を統計的アプローチに絞ってしまうと、当然物事の多様な視点からの捉え方は難しくなります。

昨今の”統計学ブーム”もあってか、我々は統計的なアプローチを、絶対的な正解を教えてくれるような崇高なものと捉えがちです。

しかし、実際は統計的アプローチの結果、当然の事実が判明するだけであったり、特に有意な結果が得られないこともしばしばです。

そういう意味では、なんでもかんでも「数字」「データ」「統計」と言ったように、一つのアプローチに固執してしまうのも問題だと感じました。

そして何より問題なのは、結局得られた結果の解釈は人によって異なるということです。

同じデータを同じ分析に使えば、当然同じ結果が得られます。しかし、それをどう解釈するかは結局人間の手に委ねられているのです。

例えば、ある調査で30%という結果が得られたとして、それを多いと読むか、少ないと読むかは人によって異なります。

 

もちろん、統計的アプローチの有用性を否定しようというわけではありません。

しかし、我々は統計的アプローチをするとき、それが唯一絶対の正解をもたらしてくれるものではないことを認識しなければなりません

また、なぜ統計的アプローチを採用しようとしているかを考えるべきでしょう。それは物事をより多面的に捉えるためです。統計的アプローチだけに固執していては、その目的を失いかねないと感じました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

冒頭でも述べた通り、「統計学」は非常に難しい学問であると感じます。少なくとも日常生活で馴染みの深い存在ではありません。そのため、統計学勉強して、それをビジネスに活かそうというのは容易なことではありません。

その点、本書は実際のビジネスシーンでどのように統計的アプローチが利用できるかを示してくれています。単なる理論や考え方にとどまらない内容であるため、興味を持って読み進めることができるはずです。

こんな人におすすめ

  • 「ビジネスで使える統計学を学びたい」という人
  • 「以前に統計学を勉強しようとしたが、難しくて挫折してしまった」という人

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