第127回 神吉直人『小さな会社でぼくは育つ』

神吉直人『小さな会社でぼくは育つ』

皆様、こんにちは。本日は、神吉直人『小さな会社でぼくは育つ』 (インプレス)をご紹介したいと思います。

内容紹介

「みんなが名前をあげることができるような有名大企業(一流企業)で働くことだけが幸せにつながる」と考えている人は、まだまだ多いのではないでしょうか・都心のオフィスで働き、高給を手にすることによって、生活の安定という成功を得る。長く働いてさまざまな会社を見た人はともかく、少なくとも大学生をはじめとする若者の多くは、それを成功モデルとして抱いているように思います。

栄達の道として発想できるのが、このモデルしかないとすれば、若い世代のほとんどの人は、幸せに暮らすことができないことになってしまいます、当然、そんなことは決してないわけですが、このようなモデルしか参照できないために、自らの可能性を狭めてしまっている人は、少なくないのではないでしょうか。

神吉直人『小さな会社でぼくは育つ』

企業の名前を聞かれたら、皆様は何社あげることができるでしょうか?

トヨタ、ソニー、パナソニック…。おそらく名前を挙げたほとんどの企業が有名大企業(一流企業)なのではないでしょうか?

しかし、今日、国内の企業のうち、なんと99.7%は中小企業が占めているのです。

このように国内企業のほとんが中小企業であるにもかかわらず、未だに「就職するなら有名企業がいい」「一流企業に入ることこそが成功だ」という認識が根強いです。

かくいう私もそのような認識をしていました。大企業=安定という漠然とした認識をしていいたのです。

確かに、中小企業の経営基盤は大企業のそれと比べて脆弱で、景気悪化やネガティブな環境変化の影響を受けやすいです。数字の上では、中小企業の方が倒産のリスクが高いことも事実でしょう。

しかし、昨今の日本企業の状況を考えると、大企業=安定という式は必ずしも成り立たないことが分かります。東京電力の原発事故は記憶に新しいところですし、もっと最近で言えば、東芝が虚偽の決算書を提出し、利益を水増ししていたことはよく報道されていました。

本書の内容は、決して大企業勤めへのアンチテーゼや中小企業礼賛を意図したものではありません

しかし、「大企業に勤めることこそが成功の唯一のモデルだ」と考えてしまえば、ほんとんどの人は成功できず、幸せになれないことになります。

当然、そのようなことは決してありません。本書を通して、無条件な大企業賛美の認識を改め、中小企業で働くことの可能性について考えます

感想

大企業=安定という認識は、特に若い世代のほとんどの人が持っている認識ではないかと感じます。かくいう私も、本書を読む前はそのような認識をしていました。

そう考える理由はいくつか挙げられます。経営基盤が強固で倒産のリスクが小さい。給与が高い。福利厚生が手厚い。などが挙げられるでしょうか。

しかし、そのいずれもあくまで一般論に過ぎないのだと本書を読んで気づかされました。

倒産のリスクについては上でも述べた通りです。東電や東芝といった一流企業は今厳しい経営を強いられています。

さらに極端な例をあげれば、カメラのフィルム市場で世界に君臨したイーストマン・コダック社は、デジタルカメラの移行に対応できず、結局は倒産してしまいました。

「そんなのはごく一部の例外だ」と言われれば、確かにそう言えなくもないのですが、大企業=安定の一般論には確かに例外が存在することを示しています。

また、高い給与に関しては、実際に入社しなければ本当に高給なのかが分からない場合があります。

「大企業は給与が高い」と判断する根拠としては、企業が自ら発表したり、なんらかの機関が調べて報告した平均年収を利用します。

しかし、その平均値というのが少々クセのある値で、例えば、「平均年収600万円!!」と掲げていたとしても、従業員5人のうち1人が2000万、残り4人が250万でも、確かに平均年収は600万円です。

国民の平均所得や平均貯蓄額などの値を見て、「こんなにもらっていない」「こんなに貯金はない」と思う方も多いはずですが、平均値というのはこのように飛び抜けた値に強く影響されてしまい、実体のない値を示すことも多いのです。

福利厚生に関していうと、福利厚生とはそもそも「法定外のサービス」です。有給休暇や育児休暇といった法定休暇も事実上取れないような現状で、「法定外のサービス」を求めるというのもあまり賢いとは思えません。


 

こうして考えると、「大企業=安定」や「大企業に入社すれば人生勝ち組」という認識は必ずしも正解ではないことが分かります。

そうはいっても「大企業に行っても決して成功はできない。中小企業で働くことこそが成功への道だ。」という認識をするわけでもありません。

本書を通して、大企業だけが成功の唯一のモデルではないことを理解できました。就職先に悩む全ての人に本書をおすすめしたいです。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

大変おもしろい内容でした。特に日本では、できるだけ大きな企業に雇用されることが善であり、中小企業に勤めたり、ましてや自分でビジネスを起こしたりすることはあまり良い見られ方をしない気がします。社会全体として「大企業=成功」というイメージが根強いのです。

しかし、大企業に勤めるというのは人生のモデルの1つに過ぎず、まだまだ他にも可能性があることに気づきました。特に若い世代の人には是非おすすめしたい一冊です。

こんな人におすすめ

  • 「就職活動の真っ最中だ」という就活生
  • 「どこに就職するか迷っている」という人
  • 「中小企業の魅力を知りたい」という人

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