第124回 ラウル アリキヴィ・前田 陽二『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』

ラウル アリキヴィ・前田 陽二『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』

皆様、こんにちは。本日は、ラウル アリキヴィ・前田 陽二『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』(インプレスR&D)をご紹介したいと思います。

ラウル アリキヴィ・前田 陽二『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』

内容紹介

 情報社会の発展の中で、エストニアは数多くの失敗や遠回りも経験しました。この辛い経験について数多く紹介することもできます。しかし読者のみなさんは、本書からまず多くの成功した例を見つけることができるでしょう。

日本は新しい時代のすぐそばに立っています。マイナンバープロジェクトを成功させることは、情報化社会の貼ってにおける重要な節目であり、これが成功することにより、日本はこの新しい段階まで進んだ正解で最初の大国になります。

ラウル アリキヴィ・前田 陽二『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』

最近では広く知られるようになってきましたが、エストニアは世界で最も情報化・電子化が進んでいる国です。

世界的に有名なチャットソフトである「Skype」が生まれたのはエストニアです。また、エストニアではインターネットの利用は国民の当然の権利であり、水道や電気を使うように、国中どこに行ってもWi-Fiの利用が可能なのだそうです。

エストニアではあらゆるサービスが電子化されているため、コンピュータ上で身元を認証するために国民全員に固有のIDが設定されており、15歳以上のすべての国民にIDカードが発行されています

このカードは、単なる身分証明書としてだけでなく、健康保険証、自動車運転免許証、年金手帳などあらゆる証明書として機能します。

そのため、複数の証明書を持ち歩く必要なもなく、IDカードさえあれば生活する上でのサービスは一通り受けられるのだと言います。

さらにエストニア政府内では、わずかな例外を除き紙の文書が出回ることはありません。あらゆる行政サービスを電子化し、徹底的にレーパーレスの社会を目指しているのです。


 

このように電子立国が進んだ背景には、エストニアという国の特徴が関係しています。エストニアは人口わずか130万人ほどの小さな国で、130万人というと日本のおよそ100分の1です。

しかし、人口の割に国土を広く、国のあちこちに人が点在しているような状態です。全国にまばたに散らばっている国民に平等なサービスを提供するには、インターネットの活用が不可欠でした。

そのため、エストニアではこれほどまでに電子立国が進んだのだと言います。

あらゆる行政サービスを電子化しようという試みは、実は日本でもだいぶ前から行われているのです。毎年多大な予算を用意しながら、実際にはなかなか電子化は進んでいません。

最近では「マイナンバー」がようやく発行されましたが、目に見える形で有効活用されているかというと微妙なところです。

本書を通して、電子立国を果たしたエストニアについて学び、それを参考に日本の政府はどのように電子化進めるべきかを考えます

感想

上にも書きましたが、エストニアではIDカードさえ持っていれば、それを健康保険証、運転免許証、年金手帳としても利用でき、さらには選挙の投票もインターネット上で行えるというのです。

行政に電子化が徹底的に進んでいるため、電子署名は直筆の署名と同様の効果を持ちます。そうすることで、いちいち書類にサインをしたり、その書類を様々な機関に自ら出向き提出する必要もないのです。もちろん、紙の書類を汚したり、紛失したりすることなどあり得ません。

これほどまでに効率化された様子を見ると「なんで日本はこうじゃないんだ?」という疑問が当然のように湧いてきます。

あらゆるサービスを電子すれば、それらを時間的・空間的に自由に受けられます。それは、生活スタイルも住む場所も多様化している日本にとって、まさに望ましい姿なのではないでしょうか?


 

本書を読んで知ったのですが、実際には日本でもあらゆるサービスを電子化しようという試みは長年なされているそうです。

しかし、その実態は最近になってようやく「マイナンバー」が発行された程度で、エストニアには遠く及びません。

その理由として私が個人的に感じたのは「ITリテラシーの欠如」「情報公開の不足」です。

行政サービスを電子化する技術自体は、エストニアから輸入すればすぐに解決できることですが、それを利用する国民の準備が整っていないと感じます。

例えば、「電子署名が直筆の署名と同等の効果を持つ」という取り決めが急になされても、多くの人は抵抗を感じ戸惑うはずです。

さらに言えばデジタルデバイドの問題も深刻で、あらゆるサービスを本当に受けるべき高齢者の方が、電子化されたサービスを利用できないという問題があると感じます。

「情報公開の不足」に関しては、「マイナンバー」が良い例でしょう。これは、私感ですが、多くの人がマイナンバーに対して積極的な評価をしていないように感じます。「国に監視されているようで怖い」というのがよく聞く意見です。

これは、政府の情報公開の不足によって起きていることだと感じます。つまり、マイナンバーを発行して、それをどう利用するのかをもっと明確にすべきだと感じるのです。

「実際マイナンバーとは何をするものなのか?」という問いに正確に答えられる人は少ない気がします。それほどマイナンバーの利用法は知られていないのです。


 

ご存知のように、現在日本では少子高齢化が深刻な問題になっています。

このような状況でも日本がさらに発展していくためには、あらゆるサービスを電子化し、時間的・空間的に自由にサービスを受けられる環境づくりが必要だと感じました。

そして日本が目指すべき姿として、エストニアは非常に良いモデルになりうると感じます。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

非常におもしろい内容でした。エストニアはSkypeの生まれの国であり、インターネットの利用が盛んだということはなんとなく知っていたのですが、ここまですごいとは驚きです。

最近になって日本でもマイナンバーが発行されました。マイナンバーの利用法を考える上でも、参考になる内容でした。是非おすすめします。

こんな人におすすめ

  • 「エストニアの電子立国の様子を知りたい」という人
  • 「マイナンバーは怖い」となんとなく感じている人

人気ブログランキングに参加中です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です