第113回 高橋博之『だから、ぼくは農家をスターにする『食べる通信』の挑戦』

高橋博之『だから、ぼくは農家をスターにする『食べる通信』の挑戦』

皆様、こんにちは。本日は、高橋博之『だから、ぼくは農家をスターにする『食べる通信』の挑戦』(CCCメディアハウス)をご紹介したいと思います。

内容紹介

 私たちが『東北食べる通信』でやっていることは、たったひとつ。食べ物の裏側に隠れて見えなくなっていた生産者と消費者をつなぐことである。そこには私たちの想像をはるかに超える豊かな世界が広がっていた。私たちが目撃したのは、今の消費社会が失ってしまった「生きる実感」や「つながり」を、誰にとっても身近な”食”を通じて取り戻す人々の姿だった。私はこの人々が眼差しを向ける先に、新しい社会への「胎動」を感じている。

高橋博之『だから、ぼくは農家をスターにする『食べる通信』の挑戦』

本書は、『東北食べる通信』という情報誌を通して、筆者が日本の一次産業に新たな価値をもたらそうと懸命に活動する様子が描かれています。

『東北食べる通信』というのは、筆者の高橋氏が代表となってはじめたプロジェクトであり、”食べもの付き”というなんとも珍しい形式の情報誌です。

近年では物流の発展により、生産者と消費者の距離はかつてないほどの広がりました。そのためか、日本人のおよそ6割は食に対してなんらかの不安を抱えていると言われています。

また、最近ではなにかと「都市と地方」のように、両者を二項対立的に捉えてしまいがちです。本来は、どちらが優れているということもなく、どちらにも長所と短所がある中で、お互いに協調し合っていかなければならないのです。

そうした状況を改善していこうと筆者の高橋氏は『東北食べる通信』の発行をはじめました。

これを通して、生産者のリアルを都市に伝えています。豊かな自然、新鮮な食材、穏やかな街並みなど、地方の暮らしぶりは何かと美化されがちですが、実際にはもちろん良い面ばかりではありません。食べ物の生産は、誇張ではなく常に「死」と隣り合わせなのです。

また、都市の人も、毎日口にする食材でさえ、どこで誰が作ったのかを知っている人は少ないでしょう。消費者意識、もっと言えば”お客様”意識が強く、食材が手に入ることが当たり前だと感じています

こうした生産者と消費者のギャップを我々は今一度考え直さなければなりません。本書を通して、我々の生活に最も身近な”食”について考えます。

感想

 今、私たち消費者に決定的に欠けているのは、この私たちの命に直結する1次産業の問題を、自分ごと化する「共感力」だと思う。この国の1時産業を立て直すには、食べ物の裏側にいる生産者の、生身の人間の存在を知り、つながることで「共感力」を磨いていくことだ。今は、ほとんどの人が自分が日ごろ食べているものをつくっている人をひとりも知らないという状況だろう。食べる人と作る人はそれほどまでにかけ離れてしまった。

高橋博之『だから、ぼくは農家をスターにする『食べる通信』の挑戦』

近年、1次産業の就業者数は激減しており、またその就業者も高齢化が進み、後継者もいないという深刻な状況に陥っていることはよく各種メディアで報じられています。

また、最近ではTPPへの加盟により、日本の1次産業は大きな打撃を受けるのではないかという心配もしばしば叫ばれています。

こうした状況を耳にしながらも、我々はやはり1次産業の問題を他人事として捉えてしまっていると痛感させられました。

我々は当たり前ですが、食べなければ生きていけません。その意味では、食の問題に関しては国民全員が当事者と言えます。みんな口では1次産業は大事だ、農山漁村は必要だと語るのです。

しかし、いざ自分がやるかと言われればやりません。また、子供に1次産業に従事させたいかと問われれば、やはりやらせたくありません

このように、我々は生きるために不可欠なはずの”食”に関してすら当事者意識を持てないであるのです。

ありふれた感想ではありますが、自分たちの”食”についてもう一度きちんと考えなければならないと感じました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

日本の1次産業の様子を知り、考えさせられる内容が多かったです。我々の多くが消費者として都市に住み、食べ物が届けられることは当たり前だと考えています。また、1次産業が危機的状況だと聞いても、なんら行動を起こそうとはしません。そうした意味で、確かに食に関する当事者意識が欠けていると思い知らされました。

本書を通して、食に関する問題を再考する機会を得ました。

こんな人におすすめ

  • 「日本の1次産業の実態を知りたい」という人
  • 「『東北食べる通信』の取り組みを知りたい」という人
  • 「”食”に関する問題をしっかりと考えてみたい」という人

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