第95回 安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

皆様、こんにちは。本日は、安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)をご紹介したいと思います。

内容紹介

「イシューとは何か」。それについてこの本を通してじっくり説明していくが、実際のところ、「何に答えを出すべきなのか」についてブレることなく活動に取り組むことがカギなのだ。

イシューを知り、それについて考えることでプロジェクトの立ち上がりは圧倒的に早くなり、混乱の発生も予防できる。目的地の見えない活動は辛いが、行き先が見えれば力が湧く。つまり、知的な生産活動の目的地となるものがイシューなのだ。

 

安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

圧倒的に生産性が高い人に共通すること、それは決して作業のスピードではありません。

それでは、優れた知的生産を生み出すものとは何のなのか?

それは、「イシューを見極める能力」だと筆者は強調しています。

「生産性」とは投下した労力や時間に対し、どれだけの成果を上げることができたかを示すものです。よって、それを高めようとすれば、投下する労力や時間を減らすか、同じ労力・時間でより多くの成果をあげるかのいずれかです。

つまり、より少ない時間で、より大きな成果をあげるのが、生産性が高い状態と言えます。

「より少ない時間で、より大きな成果をあげる」ために必要なのが、「イシューを見極める能力」です。つまり、真に答えを出すべき問題だけを考えることが重要なのです。

あなたは、「多くの労力と時間を割いたが、振り返ってみると大した仕事はしていなかった」「一生懸命調べたものの、そのほとんどが求められているデータではなかった」などという経験をしたことがないでしょうか?

これがまさに、イシューを見極められていない状態です。答えを出す必要性にそれほど迫られていない問題に取り組んでしまったため、生産性は低下してしまいました。

「本当に解決すべき問題を見極め、そこに100%の力を注ぎ、圧倒的な生産性をあげる」。本書では、その方法について学びます。

感想

世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。

安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

個人的には、これが本書の急所を端的に表した表現だと思います。

「バリューのある仕事」つまり「質の高い仕事」とは、「イシュー度」と「解の質」で決定されると筆者は述べていました。

「イシュー度」とは「自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」であり、「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」であるとそれぞれ意味を説明されていました。

多くの人は、「イシュー度」という問題を考慮に入れることはありません。そのため、「解の質」ばかりを高めて、「質の高い仕事」を生み出そうとするのです。その結果、がむしゃらに仕事をし、体は限界まで疲弊するが、それほど価値のある仕事になっていないという状況に陥ってしまうそうです。

確かに、忙しいことや時間をないことを自慢げに話すサラリーマンを多いですし、残業の多さや睡眠不足は、立派なサラリーマンの証のような見方をされることもしばしばです。

しかし、価値の低い問題にどれだけ懸命に取り組んでも、そこから生まれる価値はやはり低いのが現実です。そのため、「イシュー度」の高い、つまり答えは必要とされている数少ない問題を見極めることが必要なのだと強調されていました。

タイトルにもある「イシューからはじめよ」はそのような意味です。

以前、第69回 グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』で、『エッセンシャル思考』(かんき出版)という書籍をご紹介しました。

本書を読んで、「イシューからはじめる」という考え方と「エッセンシャル思考」は、ほとんど同じ考えであることに気づきました。

「エッセンシャル思考」はごく簡単にいうと、「より少なく、しかしより良く」という考え方です。自分にとって本当に大切な問題は何かを見極め、そこに全力を注ぐことを指します。

一方の「イシューからはじめる」という考え方も、本当に必要性に迫られた問題を見極め、それに全力を注ぐという考えです。

このように、数々の著名な書籍で、本当に大切な問題を見極めることの重要性は主張されています。しかし、我々はどうしても、「より多いことこそがより良い」という考え方を取り入れてしまいがちです。

本書の序盤で、「イシューからはじめる」には「一般常識を捨てる」ことが重要だという記述がありました。

確かに、常識にとらわれていては、多くのサラリーマンのように、がむしゃらに仕事をこなし、残業の多さや睡眠不足を自慢するだけです。

「イシューからはじめる」ことの重要性、さらには、そうするためには「一般常識を捨てること」が重要であると学びました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

「世の中で『問題かもしれない』とされているもので、本当に解決すべきものはほんのわずかしかない。そのため、やみくもに問題解決に取り組むのではなく、まず問題を見極めることが大切だ。」という重要な学びを得ました。

正直に申し上げると、内容は難しいと感じました。そのため、1回読んだだけでは全てを理解することは難しいです。しかし、何より本書の技術は、経験を重ねて身につけるものだと感じました。本を読んだだけで全てを理解するというのが無理な話でしょう。

Amazonのレビューなどを見ると「難しかった」「何を言っているのかわからない」などのコメントもありますが、個人的には多くの人におすすめしたいです。

 

こんな人におすすめ

  • 「仕事の生産性を上げたい」という人
  • 「コンサルティングのノウハウを知りたい」という人

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