第91回 ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』

ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』

皆様、こんにちは。本日は、ダニエル・ピンク著・大前研一訳『モチベーション3.0』(講談社)をご紹介したいと思います。

内容紹介

モチベーションの話となると、科学の知識とビジネスの現場にはギャップがある。ビジネスにおける現在の基本ソフト(OS)は、外部から与えられるアメとムチ式の動機付けを中心に構築されている。これはうまくいかなし、有害な場合も多い。アップグレードが必要なんだ。科学者たちの研究成果がその方法を示している。この新しいアプローチには三つの重要な要素がある。一つは〈自律性〉 自分の人生を自ら導きたいという欲求のこと二番目は〈マスタリー(熟達)〉 自分にとって意味のあることを上達させたいという衝動のこと三番目は〈目的〉ー 自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思いのことだ。

 

ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』「第3部 本書の概要」より

本書では、「コンピュータ同様に、社会にも人を動かすための基本ソフト(OS)がある。」と説きます。そのため、あたかもコンピュータソフトのバージョンを表すかのように、『モチーベション3.0』というタイトルがつけられています。

それぞれのバーションに関する説明は以下の通りです。

〈モチーベション1.0〉:生存を目的とする人類最初のOS

〈モチーベション2.0〉:アメとムチ=信賞必罰に基づく、与えれた動機付けによるOS。ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。

〈モチベーション3.0〉:自分の内面から湧き上がる「やる気!」に基づくOS。活気ある社会や組織を作るための新しい「やる気!」の基本形。

説明にもある通り、これまで人間は〈モチベーション2.0〉を基本として生き、さらに発展を続けてきました。産業革命期からの工場労働者を考えても、厳しい規律を課すことで秩序を保ち、生産性を向上させてきたのです。

しかし、「仕事」というのが、工場での製品組み立てのような単純なルーチンワークだけだった時代なら、アメとムチによる動機付けも有効だったのですが、現代は少し様子が違います。

単純なルーチンワークのほとんどが機械やコンピュータに取って代われれ、我々人間がなすべき仕事はより創造性を求めるようになりました。

様々な研究の結果、創造性を求める課題において、アメとムチの動機付けは基本的に有効に機能しません。そればかりか、悪影響すらもたらすのです。

こうした科学的な事実が証明されながらも、実際のビジネスの世界では、依然としてアメとムチによる動機付けの傾向が根強いです。多くの人が仕事に対し「やる気が出ない」と思ってしまうことも、そう考えれば自然なのです。

アメとムチによる外的動機付けは即効性があるかもしれませんが、持続力がありません。つまり、「その場しのぎ」の動機付けです。

そうではなく、もっと自分の内側からこんこんとやる気が湧き上がってくるような内的動機付けの方法を、本書で学びます。

感想

内的動機付けの重要な要素として、〈マスタリー(熟達)〉 自分にとって意味のあることを上達させたいという衝動のこと。というものが挙げられていました。

そして、このマスタリーを実現させるには「フロー状態」が大変重要なようです。

「フロー状態」とは、やらなければならないことと、できることの相関性がぴったり一致しており、我を忘れて作業に没頭している状態のことです。

あなたにも、「好きなことをしていたら、時間が経つのも忘れて没頭していた」という経験が一度はあるのではないでしょうか?

この「フロー状態」の経験を重ねることが、マスタリーを実現させるために重要だと筆者は語ります。

確かに、その通りだと感じます。「好きこそ物の上手なれ」という言葉はよく耳にしますし、その道を極めた人は、決まって「努力を努力と感じず、時も忘れてひたすら没頭してきた」といった趣旨の発言をします。

しかし、「フロー状態」が「マスタリー」を保障するのかというと、必ずしもそうではないようです。

それも当然で、「フロー状態」とはたかだか数時間の話で、一方「マスタリー」は何ヶ月、何年、場合によっては何十円んという期間を要するからです。

よって、本書では、「マスタリーは苦痛だ!」という表現がなされていました。

当たり前のことですが、何かを極めることは、やはりつらく苦しいものなのです。

フロー状態とは、その過程での一時の助けのようなもので、ごくたまに現れるフロー状態に励まされ、また遠い道のりを進んでいくということの繰り返しだ、というようなことを筆者は語っていました。

これを見て、私は安心しました。

というのは、何かを極める人というのは、それに没頭するあまり、片時も努力をつらいと感じることはないと考えていたからです。

そうだとすれば、私はそう感じられる「何か」をまだ見つけられていません。何をやっても困難にぶつかっては挫折する、この繰り返しでした。

しかし、どうやら「つらい」と感じるのはごく自然なことのようです。

その道のエキスパートと呼ばれる人々も、華々しい実績の陰に、何年、何十年にも及ぶ厳しい訓練があるのです。

どんなに好きなこと・自分に向いていることをやったとしも、結局は厳しい訓練に耐え、努力を継続する忍耐力が必要だと気付きました。

当たり前のことですが、また重要な学びを得ました。

 

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

大変おすすめです。これまで我々が常識だと思っていた動機付けが、いかに悪影響を生んでいるのかを理解できます。特に、「〜をしたら、○○がもらえる」と言った「交換条件つき」報酬は、我々が日々の生活で当たり前にやっている動機付けの方法ですが、ほとんどの場合有効に機能しないようです。

「動機付け」「モチーベーション」という言葉は最近よく耳にするようになりました。おそらくその重要性が認知され始めたということでしょうが、それらについて学ぶ機会はほとんどありません。

「動機付け」「モチベーション」について学んで見たい人には是非おすすめです。

 

こんな人におすすめ

  • 「いつも仕事にやる気が出ない」という人
  • 「モチベーションについて学びたい」という人
  • 「効率的に人を動かす動機付けの方法を知りたい」という人

人気ブログランキングに参加中です。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です