第90回 田中慎弥『孤独論 逃げよ、生きよ』

田中慎弥『孤独論 逃げよ、生きよ』

皆様、こんにちは。本日は、田中慎弥『孤独論 逃げよ、生きよ』(徳間書店)をご紹介したいと思います。

内容紹介

本書でわたしは、日々働きながらもどこかでもやもやと煮え切らない思いを抱えている人に向けて、孤独であることの必要性を述べてみたいと思います。いまの世の中、放っておけばいつしか奴隷のような生き方に搦め捕られてしまう。だから、意識的にそこから逃げていかなければならない

田中慎弥『孤独論 逃げよ、生きよ』「はじめに」より

われわれ現代人は好むと好まざるにかかわらず、なんらかの共同体、組織、集団に属しています。それは人間である限り免れることはできません

人は決して一人では生きいくことができず、古くから他人との協力関係を築くことによって、発展を続けてきました。何かしらの共同体に属していないことは、そのまま死を意味することでもあったのです。

しかし、そうは言っても、現代人の多くが「孤独」になることをあまりにも恐すぎていると筆者は語ります。

筆者は我々のその様子を、「『孤独』を恐れるあまり、独りになって息つく時間もなく、仕事、人間関係、因習の『奴隷』になっている」と表現していました。

「他人から与えらえて仕事をただこなすだけ」「誘われたから行く」「みんながやっているからやる」という思考停止の状態になっていないでしょうか?

もしあるとすれば、それが「奴隷」になっている状態です。

現代は「孤独」になることがますます難しくなっている時代と言えます。

家にこもり、一見孤独に見える状況であっても、インターネットを使えばすぐに外の世界とつながることができるからです。SNSの存在によって、物理的な孤独は必ずしも本当の「孤独」を意味しなくなりました

だからこそ、我々は意識的に「孤独」になる必要があるのだ、と筆者は語ります。

今こそ、自分の人生の舵を自分で切るべきです。

「孤独になり、自分で考え、自分で生きる」術を学びます。

 

感想

自らを尊しと思わぬものは奴隷なり。(夏目漱石)

筆者が我々現代人のこと「奴隷」という強烈な表現で語っていることに、はじめは抵抗を感じましたが、本書を読み終えて、まんざら誇張でもないと感じるようになりました。

「毎日が残業続きで休日出社も当たり前、起きている時間はほとんど仕事に拘束されている。」こんな状況はまさに「奴隷」です。最近では、「社畜」という言葉もよく使われるようになりました。やはり、我々は奴隷化をどこかで認識しているのでしょうか。

しかし、定時に勤務を終え、週休2日制を維持できていれば「奴隷」ではないのかというと、そうではないそうです。

反論が許されない雰囲気、マニュアルからはみ出すことが許されない状態、そんな状況にいれば、それも「奴隷」であると筆者は語っていました。

つまり、「奴隷」とは、有名無形の外圧によって思考停止に立たされた人です。

そう考えると、意外に多くの人が、いや他でもなくこの私が「奴隷」になっているのではないかと危機感を覚えました。

1日の中で主体的にものを考え、自分の信念のみ頼って下す決断が一体どれほどあるかを考えてみると、そう多くはありません

まさに思考停止の奴隷です。

私なりにこの理由を考察してみると、我々は他者にあまりにも「Yes」と言いすぎるために奴隷化しているのではないかと感じます。

職場でも学校でも、あらゆる人間関係において、何かと「Yes」と言うことが要求されている気がします。「Yes」と言っておけば、とりあえず孤独になることはありません。しかし、この何にでも「Yes」と答えてしまうことこそが思考停止だと感じるのです。

「誘われたから行く」「みんながやっているからやる」「周りに合わせなければ」という感覚です。これはまさに思考停止でしょう。

 

さらに悪いことに、人間は現状肯定しやすい性格を持っています。「理想通りの生活ではないけど、食べるのには苦労してないし、とりあえず今のままでいいか」という思考です。

こうなれば、孤独になるリスクを冒してわざわざ「No」とは言わないでしょう。

しかし、これでは多くの人が理想として掲げる「自分らしく生きる」というのは、本当に理想で終わってしまう気がするのです。

本書を読んで、我々は、もっと主体的・能動的に「No」と言うべきだと感じました。また、仮にそれで孤独になったとしても、孤独は恐るべきものではなく、むしろ進んで受け入れるべきものなのだから、それでいいのだと気付きました。

 

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

「奴隷」という強烈な表現を見て、はじめは違和感を覚えましたが、結局は「たしかに奴隷かもしれない…」と感じました。

「孤独」の重要性を語る書籍は他にも多くありますが、本書は大変読みやすく、内容をも理解しやすいのではないかと感じます。

「自分らしく生きたい」と考えている人は一読すべきかと思います。

 

こんな人におすすめ

  • 「自分で考え、自分らしく生きたい」という人
  • 「日々の仕事に、どこか煮え切らない思いを抱えている」という人
  • 「仲間はずれが強く、いつも他人に合わせてしまう」という人

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