第89回 野村進『調べる技術・書く技術』

野村進『調べる技術・書く技術』

皆様、こんにちは。本日は、野村進『調べる技術・書く技術』(講談社現代新書)をご紹介したいと思います。

内容紹介

「ノンフィクション作家」あるいは「ノンフィクションライター」という呼称が一般に認知されるようになったのは、1980年代からだろう。それよりはるか以前から、作人としてのノンフィクションは、そのテーマから表現形態まで多種多様な変化を遂げてきた。

しかし、野球のバッティグで言うと”フォーム”にあたる部分は、基本的に全く変わっていない。このフォームは、ノンフィクションを書こうとしている読者だけでなく、これから会社や大学のレポートの課題のような何かを調べて書こうとしている有用ではないか。それだけの質のものを、われわれの先達はたしかに残している。

ノンフィクションというジャンルが蓄積してきた調査と執筆の技術の中から、一般の読者にも役立つにちがいないフォームを伝えるのが、本書の最大の目的なのである。

 

野村進『調べる技術・書く技術』「プロローグ」より

本書から学べる内容は、タイトルにもある通り「調べる技術」と「書く技術」です。

最近では、会社でも学校でも、報告書やレポートのように、自分で何かあるテーマについて調べて文章を書くという機会が増えているはずです。

しかし、大学生や社会人になると当然のように要求される、この「調べる技術」と「書く技術」は、それ以前にはほとんど習う機会がありません

小・中学校でも簡単な調べ学習をしたことがあるという人は多いと思いますが、やはりそれは”簡単な”程度のレベルに留まっています。ましてや、「調べ方」を学ぶ機会はほとんどありません

また、文章の書き方についても、国語の授業である程度は習います。しかし、実際の国語の授業は、文章論や文章の書き方を指導する場というよりも、お涙頂戴の物語に親しむ道徳授業になっている場合も多いです。

こうしてみると、我々は「調べる技術」と「書く技術」をきちんと教わらないまま、当然身につけるべき能力として要求されているのです。

そこで、本書では、四半世紀もの間ジャーナリストとして活躍してきた筆者が、我々一般人にも役立つような「調べる技術」と「書く技術」を教授します。

テーマの決め方、資料の集め方、インタビューの仕方、さらに、書き出しの秘訣や文章の構成の仕方などなど、プロのジャーナリストが現場で身につけた実践的なノウハウを学べます。

感想

本ブログでも、文章論や文章の書き方に関する書籍はすでに何冊か取り上げました。

その上で、本書を読んで気づいたことは、一流の物書きは「何を書くか」ではなく「何を書かないか」を常に意識しているということです。

「何を書くか」に意識を向けてしまうと、「あれも書きたい、これも書きたい…」「あれも大事だ、これも大事だ…」のように、論点が絞れず、結局何を伝えたいのかが分からないという文章が出来上がってしまいます

しかし、「何を書かないか」に意識を向けることは、本当に大切な1つか2つの論点に縛って文章を書くことを可能にします。「せっかく集めた材料を捨てる」ということはたしかに心苦しいことではありますが、逆に言えば、「捨てられない」というのは「何が本当に大事かを理解できていない」ということになります。

筆者の野村氏は何かあるテーマについて調べ、それについての文章を書く際は、本や新聞、ネット記事などの資料で事前に入念な調査をした後で、インタビューを行ってさらに情報を集めるそうです。

そうとなれば、得られる情報は膨大な量になります。しかし、実際に文章にするのは、その材料のわずか1/10程度。理想では、1/20程度に収めるのが良いと語っていました。

以前、「全てに集中することは、結局どれにも集中していないことと同じだ」というような言葉を耳にしましたが、この言葉は文章を書くときにまさに当てはまると感じました。

何かと報告書やレポートを要求される時代ですが、せっかく書いたかと思えば「分かりにくい。」「結局、どういうことなの?」と容赦のない批判をされることも少なくありません。

そうしたときは、重要な部分を強調するためにも思い切って他の部分を切り捨てる必要があるのかもしれません。

「何を書くか」ではなく「何を書かないか」

分かりにくい報告書やレポートの原因は、データや材料の不足ではなく、過多なのかもしれません。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

プロのノンシクションライターがどのように調べ、書いているのかを知れる貴重な本だと感じます。特に「調べる技術」に関しては圧巻でした。これほどまでに入念な事前準備の上で文章を書いていること知ると、プロとしての仕事に対する心構えも学ぶことができました。

最近は会社でも大学でも、何かと報告書やレポートを要求されることが多いです。本書は、質の高い報告書・レポートの作成に必ずや役立つでしょう。

 

こんな人におすすめ

  • 「報告書・レポートを書く機会が多い」という人
  • 「せっかく書いた報告書に対し『分かりにくい。』と言われることが多い」という人
  • 「プロのジャーナリストの仕事ぶりを知りたい」という人

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