第82回 森博嗣『孤独の価値』

森博嗣『孤独の価値』

皆様、こんにちは。本日は、森博嗣『孤独の価値』(幻冬社)をご紹介したいと思います。

内容紹介

孤独を絶対駄目な状態だと思い込んでいるのは損というものである。それは大きな間違いだ。そんなに悪くない。むしろ、ありがたがっても良いくらいの価値のあるものかもしれないと、と思い直してほしい。

森博嗣『孤独の価値』(幻冬社)「あとがき」より

我々はどうして孤独を恐れるのでしょうか?

おそらく我々は孤独に対し、恐れや不安を抱いているからでしょう。

特に若い世代には、友人や知人が少ないことを「孤独だ」と嘆き、悲しむ人は多いです。高齢化に伴って、一人暮らしを強いられた高齢者が、誰にも看取られず亡くなることが増え、「孤独死」という言葉は世に定着しました。重大な犯罪を起こして、「世間に見放された」「他人なんてどうでもよくなった」と、孤独を理由に犯罪に及ぶケースも少なくありません。

このように、「孤独」は一般的な理解では、絶対的な悪として存在しています。

しかし、さらに深く考えて、「孤独はなぜ我々に恐れや不安を抱かせ、絶対的な悪として存在しているか?」ということを考えてみると、意外にもその理由は簡単に見つかりません。

「孤独」という状況は言い換えれば、「誰にも邪魔をされない非常に自由な状態」とも言えます。

つまり、孤独に対する認識は非常に主観的なのです。

一方では、耐え難い恐れや不安、しかしまた一方では、最高に自由な状態を意味します。

そう考えれば、孤独は無条件に悪と受け入れるべきものではなく、むしろ価値あるものとして捉えることもできるのではないでしょうか?

筆者森博嗣氏が「なぜ人は孤独を感じるのか?」「孤独にはどのような価値があるのか?」「どのように孤独を受け入れるべきなのか?」などの疑問に対し、独自の視点から答えを与えています。

感想

孤独を受け入れることは、つまりは、自由になることでもある。周囲に仲間がいるうちは、ある程度歩調を合わせなければならない。愛情も友情も、楽しいときもあるかもしれないが、確実に貴方を縛るものだ。つまりは、「絆」でもある。絆というのは、家畜が逃げないように足を縛っておく縄のことだ。人間に飼われている家畜は、孤独ではないが、自由にどこへでも行けるわけではない。逆に、絆が切れれば、孤独と自由が手に入る

森博嗣『孤独の価値』(幻冬者)「第5章 孤独を受け入れる方法」

非常に印象的な表現です。

我々人間は太古から、協力関係を築くことで生き延びてきました。他人から必要とされ、仲間と認めてもらわなければ生きていけなかったのです。かつては「孤独」とはそのまま「死」を意味していました。

しかし、現代は必ずしも四六時中、他人といっしょでなければ生きていけないかというと決してそんなことはありません。

あらゆる技術の発展で、極端な言い方をすれば、数日間なら誰にも会わなくても生活をできる世の中です。

それでも、そんな世の中にありながら、我々は親や先生から、他人とのつながりの重要さを過剰に強調されて育ちます。そして、これこそが現代人が人間関係に悩みを抱える最大の要因なのではないかと感じました。

我々の多くは、別に付き合わなくても生きていける人と付き合っているから、人間関係でストレスや不安を感じるのではないでしょうか?

別に親しくもなく、付き合いやすくもない人であっても、いっしょにいれば孤独を感じることはありません。しかし、自由を手に入れることは決してできないのです。そればかりか、無駄なストレスを感じ、それでいて楽しくないという馬鹿馬鹿しい状況です。

我々は人間関係の重要さを強調されるあまり、人間関係を広げることにばかり集中している気がします。

そうではなく、狭い人間関係であっても、そのつながりを強くすることにも価値はあるでしょうし、もっと言えば、あえて人間関係を断ち、孤独を手に入れることも価値があるのではないかと感じました。

「自由になりたい」と願う人は多くても、「孤独になりたい」と願う人はまずいないでしょう。

しかし、「孤独」と「自由」は表裏一体の存在です。自由になりたければ、まず孤独なることが必要だと気付かされました。そして、自由になれるなら、孤独とはそれほど悪くないのではないかと感じました。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

タイトルにもある「孤独の価値」を少しを理解できたかと思います。多すぎる人間関係のせいで、日々ストレスを感じ、「自由になりたい」と感じている人は多いです。しかし、「孤独になりたい」と願う人はまずいません。これは、「自由を手に入れるには、孤独にならなければならない」ということを認識していないからです。また、「孤独」を無条件に悪と受け入れるために起こる考え方でしょう。

孤独はそれほど悪いものではなく、むしろありがたいものだと気づかせてくれた本でした。

 

こんな人におすすめ

  • 「自分は孤独で寂しい人間だ」と感じている人
  • 「いつも人間関係でストレスを感じている」という人
  • 「孤独は避けるべき悪いものだ」と考えている人

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