第75回 岸見一郎『幸福の条件』

岸見一郎『幸福の条件』

皆様、こんにちは。本日は、岸見一郎『幸福の条件』(角川ソフィア文庫)をご紹介したいと思います。

内容紹介

本書の内容紹介に入る前に、一つ質問を。

皆様は、古賀史健・岸見一郎『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)という書籍をご存知でしょうか?

アドラー心理学を実践的なレベルで解説し、自分らしく生きることの重要性を説いたもので、今やベストセラーになり、ドラマ化もされている大変有名な本です。

本書はその『嫌われる勇気』の共著者である岸見一郎氏の著作です。

なんでも、古賀史健氏は岸見一郎氏のアドラー心理学に関する書籍を読んで感銘を受けたそうです。それ以来、アドラー心理学を熱心に勉強し始め、岸見氏には強い憧れを抱いていたと言います。

本書のタイトルは『幸福の条件』

「我々によっての幸福とは何か?」「我々はどうすれば幸福になれるのか?」という非常に根本的な問いです。

しかし、今こそ我々はこの問いの答えを真剣に考えるべきではないでしょうか?

現代はかつてないほどに物質的な富に恵まれています。食べるもの・着るもの・住むところに不自由することはないばかりか、どちらかといえば贅沢とも言える環境にいます。

しかし、我々の多くは「どこか満たされない」という感覚のなかで生きているのもまた事実です。

岸見氏は本書のなかで幸福について次のように語ります。

外的なもの、偶然的なものがあるだけで人は自動的に幸福になれるわけではない。どのような状況のなかにあっても、自分の置かれた状況の意味づけが人の幸福の鍵を握るのである。

岸見一郎『幸福の条件』(角川ソフィア文庫)「第5章 善く生きるとは」より

外的なもの、つまり地位や名誉、お金などは我々を自動的に幸せにするわけではないようです。

我々を幸福に導く人生の意味づけ方を、アドラー心理学とギリシア哲学の観点から考える本です。

感想

本書ではまるまる一章分を割いて「幸福な対人関係を築く」ことについて語る部分がありました。アドラー心理学では、「すべての悩みは対人関係の悩みである」と断言するほど、対人関係の重要さを主張するからでしょう。

そこで最も印象に残ったのは「私は他の人の期待を満たすために生きているわけではない」という部分です。

「自分が自分のために自分の人生を生きていないとすれば、誰が自分のために生きてくれるのだろう」というユダヤ教の教えとともに、自分らしく生きることの重要さを説いています。

この「自分らしく生きる」「自分の好きなことをする」「他人の言いなりにならない」ということに関しては、最近ではよく言われています。この類の主張をする書籍は、本ブログでも何冊も取り上げてきましたし、書店に行けばすぐに見つかるでしょう。

 

といったように、少なくとも私にとっては目新しい知識ではなかったのですが、ページをめくるとこんな見出しがありました。

「他の人は私の期待を満たすために生きているのではない」

つまり、「自分らしく生きる」のは何も自分だけではなく、相手も一緒なのだということです。考えてみれば当たり前なのですが、我々はどうもこのことを忘れがちな気がします。

「自分はこれだけ相手のために尽くしたのに、なんの見返りもなかった」「自分はこれだけ与えたのだから、”普通は”お返しをするだろう」「あの人はいつも私の期待を裏切る」「私だったらこうする(あんなことはしない)」などといったように、時折我々はどうしても自己中心的な考えをしてしまいます。

しかし、私が他人の期待を満たすべく生きていないように、相手も私の期待を満たすべく生きているのではないのです。

「自分は自分、他人は他人」と割り切る考え方も重要なのでしょう。アドラー心理学ではこのことを「課題の分離」と呼んでいました。

最近、多くの人が「自分らしく生きる」ことの重要性を認識し始めています。これは大変良いことだと感じます。しかし、それは相手も同じなのだから、相手が自分の期待通りに動いてくれないことに不満を言うのは自分勝手というものです。

自分は他の人の期待を満たすために生きているわけではない、と主張するのであれば、他の人も同じことを主張することを認めなければならない。

岸見一郎『幸福の条件』(角川ソフィア文庫)「第2章 幸福な対人関係を築く」より

非常に大切なことを学びました。皆様にお伝えするとともに、私自身もこのことをきちんと理解していきます。

 

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

アドラー心理学・ギリシア哲学に興味がるという方にはぜひおすすめします。タイトルにもある「幸福の条件」について深く考えさせられました。

標準的な文庫本という感じなのですが、内容が濃く、ところどころ難しい内容もあるので、読むのは意外に苦労します。

こんな人におすすめ

  • 「アドラー心理学に興味がある」という人
  • 「ギリシア哲学に興味がある」という人
  • 「幸せとはなんだろうか?」に対する答えを求めている人

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