第42回 山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極壽一 永田和宏『僕達が何者でもなかった頃の話をしよう』

 山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極 壽一 永田和宏『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』

皆様、こんにちは。本日は、山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極壽一 永田和宏『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』 (文藝春秋)をご紹介したいと思います。

山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極壽一 永田和宏『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』

感想

何かにあこがれる、それはその対象を手の届かない彼方において、ただ眺めているということではないだろう。あこがれるとは、どうにかしてその対象に近づきたい、単に物理的に近寄りたいという思いも込めて、もう少し能動的に、できれば自分もそのようになりたい、なってみたいという思いを内包している思いである。

「あこがれる」という行為について、筆者の永田さんは上のように述べています。さらに、最近の若い世代の人々の「あこがれる」という行為にも言及しています。永田さん曰く、最近の若い世代の人たちにもあこがれを抱くような偉人はもちろんいるが、自分たちとは縁のない世界に生きる人としか受け止めていないそうです。どんなに頑張っても自分たちが届くはずのない人だと考えてしまいがちです。

本書は、そのような若い世代の人たち、特に大学生に向けて、「この人たちはこんなにすごいんだ!」と示すものではなく、今でこそ偉人とされる人も多くの失敗や挫折を経験してきたことを伝え、「なんだ自分と同じじゃないか」と思わせるのが目的となっています。「自分と同じじゃないか」と思えれば、「自分もやってみよう!」「ひょっとしたら!」と一歩踏み出せます。その始めの一歩こそが重要なのだと永田さんは語っていました。

そうして集められた偉人たちが、山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)、羽生善治(将棋棋士)、是枝裕和(映画監督)、山極壽一(京都大学総長)といった錚々たるメンバーです。

今回は、その中でも特に印象に残った山中伸弥さんの部分を少しご紹介したいと思います。

山中伸弥さんと言うと、iPS細胞の研究やノーベル賞の受賞であまりにも有名です。しかし、意外にもそれまでにはいくつかの大きな失敗や挫折を繰り返しているということが本書を読んで分かりました。

医学部を卒業後、整形外科医として働くようになると「ジャマイカ、ジャマイカ」と呼ばれていたと語ります。というのも、普通ならば20分ほどで終わる手術に2時間もかけてしまうなど、意外にも外科医としての才能はなかったそうです。また、そこで夢と現実の差を痛感したようです。例えば、脊髄を損傷してしまった患者はどんなに優秀な外科医をもってしても、治すことは不可能なのだそうです。同じ頃、実の父が肝硬変でなくなり、医者でありながら自分の父さえ助けれれなかったという無力感を感じたと述べています。そこで、臨床医としてではなく、研修医としての道を歩み始めます。

大阪で4年間研究者としての基礎を学んだ後は、アメリカで研究を進めました。英語には不自由を感じたもののアメリカでの研究を大変うまくいったようです。研修者として自信を少しずつつけていたようですが、日本に帰ってくると厳しい現実が突きつけられます。アメリカにいた頃は科学誌に論文を送ると、すぐに掲載してもらえたそうですが、日本では酷評されて帰ってきたそうです。というのも、アメリカにいた頃は後ろ盾となっていた教授によって論文が通っていというのが実際のところだったようです。「一生、車椅子生活を強いられた脊髄損傷患者を治したい」と壮大な理想を掲げながらも、現実は研究用のネズミの世話をする毎日。こうした状況に完全に自信を喪失し、鬱状態になったほどだそうです。

こうしてみると、やはり華々しい成功の陰にはそれを超えるような失敗や挫折があるのだと痛感させられます。本ブログでも数々の本を取り上げてきましたが、世に「成功者」と言われる人々は大きな失敗や挫折をやはり経験している気がします。そして、これも例外なく「若い頃の失敗は財産になる。若い頃はどんどん挑戦して、たくさん失敗しろ。」という内容の発言をします。

「若い頃の失敗は重要だ。」と言われながらも、私を含めた若い世代の人々は心のどこかで「失敗したくない」と思ってしまいます。それがそのまま「挑戦しない」につながってしまっているのです。この理由を私なりの考察すると、やはり「みんなと同じが良い」とい心理からでしょうか。周りの人から「あいつ、あんなことやってるよ。」と言われたくないために、思い切った挑戦をしないのでしょう。

私はどうにかしてこの感情を克服したいと考えています。幸か不幸か、私には「あいつ、あんなことやってるよ。」と僕に注目している友達がそれほどいません(笑)また、大学生という身分は、文字通り何も失うものがありません。地位や名声はもちろんお金だってありません。ある意味捨て身で挑戦できます。その最後のチャンスだと思って残りの大学生活を果敢に挑戦していきたいものです。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

これほどの有名人たちが若い頃に何を考え、何をしてきたのかを知ることができるいい本です。特に山中伸弥さんと是枝裕和さんの部分は自らの人生経験を語る部分が多く、非常に興味深い内容でした。お二方ともに、大学時代は熱心に勉学に励んでいたわけではないようです。その点に関しては「なんだ自分と同じじゃないか。」と思えました(笑)

こんな人におすすめ

  • 山中伸弥・羽生善治・是枝裕和・山極 壽一・永田和宏5名のこれまでの人生を知りたいという人
  • 「挑戦しよう」と一歩踏み出せずにいる人

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