第23回 井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』

井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』

皆様、こんにちは。本日は、井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』をご紹介したいと思います。

井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』

感想

「今さらか?」とお思いになった方もおられるでしょうか?本書は2015年に初版が出てからわりと注目を集め、書店や通販で見かけることも多いのではないかと思います。

タイトル通り、大学の経済学の概要を解説した内容となっております。「経済学」と聞くと、なにかと小難しい印象を抱かれる方も多いでしょうか?個人的にですが、近年経済学を学ぶ重要性はますます高まっていると感じます。ニュースや新聞を見ても、GDP、インフレ・デフレ、失業率や為替レートなどなど、普段から聞いてはいるもののその意味を十分に理解していないという経済学の用語が多いと感じます。また、近年では、アベノミクスやトランプノミクスなど経済問題への注目はますます高まっています。

しかし、多くの人がそうした重要性の高まりを認識していないわけではないとも感じます。認識をしているが、「経済学は難しい用語や数式が多く分かりにくい」さらには「実用性に欠けるのではないか?」という印象をお持ちの方が多いのではないかと感じます。

実際に本書のAmazonでのレビューを少々拝見したのですが、かなり初級の内容を扱っている本書の内容に対しても「わかりにく」という感想が多く、評価は高くありません。確かに、全部がわかりやすくて、実社会で実用的かと言われると、そうでもないことは認めます。

そこで、今日は経済学的な分析で実社会の現象を論理的に示せる例を1つご紹介します。感想やレビューを書くいつの記事とは少し違ったものとなりますが、ぜひ一読いただければと思います。

限界効用逓減の法則

いきなり難しい用語を出しましたので、少々解説します。ここでの「限界」の意味ですが、一般的に用いる「ぎりぎり」という意味ではありません。経済学でこの用語は「増加分」のような意味で使われます。次に「効用」ですが、これは「満足度」の意味で捉えてください。さらに「逓減」は「だんだんと減る」という意味です。

これらを合わせると、「限界効用逓減の法則」とは「満足度の増加率はだんだんと減っていく」という意味になります。

具体例を1つ考えます。お腹が空いたと思った時、りんごを1つ与えられたとします。その時はもちろん満足度は増加します。空腹なわけですから、その増加分も大きいです。さらに、2個目のりんごを与えられたとします。まあ、2個ぐらいならまだ食べられるので、さらに満足度は増加します。しかし、その増加分は1個目ほどではありませんよね?

さらに、3個目のりんごはどうでしょうか?ただでもらえるのであれば、もらうことで満足度が下がることは基本的にないので、満足度は増加します。しかし、その増加分は1個目をもらったときと比べるとかなり小さくなっているはずです。これは4個、5個・・・と続けていくとりんご1個あたりの満足度は次第に現象していくというのはお分かりいただけるでしょうか。

これが「限界効用逓減の法則」と言われるものです。しかし、ここまでは初歩の初歩です。「なるほど」と思ってくだされば幸いなのですが、少々当たり前すぎるでしょうか。ここからはこの法則を応用して「ギャンブル」について考えてみます。

「ギャンブルで負けるとなぜ熱くなるのか?」

突然ですが質問です。次のA、B2つの選択肢を与えられた時みなさんはどちらを選びますか?

問1

A:50万円もらえる

B:くじを引き1/2の確率で100万円をもらえるが、1/2の確率でなにももらえない。

それでは、次の場合はどうですか?

問2

A:確実に50万円の負債を背負う

B:くじを引き1/2の確率で負債を帳消しになるが、1/2の確率で100万円の負債を背負う

おそらく多くの人が問1ではA、問2ではBの選択をするのではないでしょうか?一応確認ですが、問1では期待値はいずれも+50万円で、問2では-50万円です。どちらが損得という問題ではありません。

このような選択をするのには理由があります。

まず、問1の場合を考えます。人は確実に得をする時その選択肢を選びがちです。その理由は下図をみれば分かります。Aの選択をした場合は効用曲線上の50万円の効用が得られます。対して、Bは0円と100万円の中点の効用を得ることになります。そうすると、Aの選択をした方が効用が高いのがお分かりいただけるでしょうか?限界効用逓減の法則でも見たように50万円と100万円では金額を倍ですが、効用は倍にはなりません。そのため、この場合はたいていAを選びます。

次に問2の場合を考えます。効用がマイナスの場合も限界効用逓減の法則と同じようなことが言えます。つまり、損をするたびに効用の下がり幅はだんだんと少なくなります。ギャンブルで最初に1万円負けるとかなりショックですが、10万円負けている状態から1万円負けても最初ほどのショックは感じませんよね?それを考慮して、下図をご覧ください。Aの選択をした場合は効用曲線上の-50万円の効用を、Bの選択の場合は0円と-100万の中点の効用を得ることになります。そうすると、Bの選択の方が効用が高いのがお分かりいただけるでしょうか?

まとめると、人間は確実な得をしている時はリスク回避的になり、確実な損をしている時はリスク愛好的になります。そのため、ギャンブルで特に損をしている時、さらにリスクを取りたがるのです。

人がギャンブルをしたくなる要因はもちろんこれだけでは説明しきれません。しかし、経済学的な見方で実社会の現象を論理的に見ることができるのがご理解いただければ幸いです。

多くの人が感じる通り、経済学はやはり簡単ではありません。しかし、その有用性は確かですし、重要性が高まっているのは冒頭で述べた通りです。少々難しい内容も含まれますが、皆様もぜひご一読いただければと思います。

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

確かに、大学4年間の経済学の内容が基本的な部分に関してはほとんど網羅されています。しかし、それゆえか1つの内容に割けるページ数も少なく少々説明不足な部分もあります。「わかりにくい」という感想はそのためでしょうか。そのため、本書では経済学の概要を理解して、興味のある分野はさらに専門的な書籍を読むという方法をおすすめします。興味のある分野を探すために利用するなら、本書はかなりおすすめです。

こんな人におすすめ

  • 経済学の概要をざっくりと知りたいという人
  • 経済学のどの分野に興味があるのかを知りたいという人
  • 経済学を一通り学んだが、今は忘れてしまい復習したいとい人

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