第19回 外山滋比古『思考の整理学』 Part 2

外山滋比古『思考の整理学』 Part 2

皆様、こんにちは。本日はお伝えしていた通り、外山滋比古『思考の整理学』(ちくま文庫)の第2回目のご紹介をしたいと思います。

外山滋比古『思考の整理学 』

感想

前回の、第18回 外山滋比古『思考の整理学』Part 1では、現代の学校教育が「自力で考える人間」が育つのを阻害してしまっているというお話をしました。

今回は、実際に「自力で考える」ためにどうしたらよいかについて言及していきたいと思います。本書では、具体的な方法として幾つかの方法が挙げられています。ここでは、「整理する」「書く」「声に出す」という3つの方法を考えていきます。

まず、「整理する」に関してです。ここでの「整理」の対象は頭の中の情報です。本書のタイトルは『思考の整理学』ですので、この行為が重要なのはなんとなくお分かりいただけるでしょうか?

頭の中の情報・知識を整理するために重要なのは、それらの知識を捨てることだと筆者は言います。これまでの学校教育は、脳を倉庫のようなものだととらえ、その中に知識があればあるほど優れているという見方をしてきました。しかし、人間の倉庫の容量にはもちろん限界があります。また、コンピュータの出現によって、脳の倉庫としての役割は以前ほど重要ではなくなりました。コンピュータの情報を記録できる容量が人間のそれと比ではないからです。

そこで、筆者は人間頭脳のあるべき形を次のように述べています。

「人間の頭はこれからも、一部は倉庫の役割をはたし続けなければならないだろうが、それでけではない。新しいことを考え出す工場でなくてはならない。」

知識を使って知恵を生み出す働きをしなければならないということです。余計な原料や機械があっては工場は効率的に稼働することができません。必要十分な原料や機械が必要です。これを、人間の脳に言い換えれば、新しい「知恵」を生み出す際に、まったく関係がなかったり、過度に難解である知識は効率的な思考の妨げになります。だからこそ、必要十分な知識以外を捨てる・忘れるという行為が重要なのです。

従来の学校教育では、「忘れる」という行為は絶対的な悪として考えられていました。もちろん、重要な知識・情報を忘れてはいけません。しかし、情報過多の現代を生きる我々は、少なくとも今は必要ないと思える知識・情報を「意識的に忘れる」技術を身につける必要があると考えます。

次に、「書く」という行為についてです。「思考」は頭の中だけで行うと必要以上に複雑化してしまうものです。また、自分の「思考」をアウトプットすることも実際は結構難しいものです。

皆様も会議や討論で意見を求められ際に、考えていることを正確に表現できないという経験をしたことがおありではないでしょうか?

これを解決するために効果的なのが「書く」という行為です。不完全でもいいのでとりあえず自分の考えを文字にしてみます。そうすれば、訂正が必要なところが自然とわかります。上で述べた「整理」とも関係するのですが、自分に必要な知識・情報と不必要なそれらが明確に識別できるようになります。これは、考えを文字にすることで客観的に自分の考えを見れるからでしょうか。

また、これは個人的な経験に基づくことですが、「書く」という行為自体が「思考」を持っている気さえします。一見すると何を言っているかわからないと思います。私はこのブログを毎日更新していますが、1記事あたりの文字数はおよそ2000字です。そのため、あらかじめ書く内容をおおよそ決めておくのですが、実際に書き始めるとまったく違った構造になることも多いです。これは「書く」という行為を通して思考が整理され、新たな考えを生み出しているからだと感じています。そのため、じっくり時間をかけて書いた記事よりも、自然な「書く」流れに沿って書いた方が良い文章が書けることが多いです。

最後に「声に出す」という行為についてです。本書のなかでは「しゃべる」と表現されているのですが、より一般化して「声に出す」という表現に変えました。

これが効果的な理由は上で書いた「書く」とほぼ同じです。とりあえず「声に出す」という行為を通して、自分の考えを客観的に捉えることができます。自分の声という音声を通して自分の考えがまた脳にフィードバックされるのです。

不安や悩みを誰かに話したら楽になったという経験は皆様もお持ちではないでしょうか?これは、自分の頭のなかで漠然と不安や悩みとして捉えているものが、「声に出す」という行為を通して客観視できるようになるからではないでしょうか?他人の不安や悩みに対して、はじめから的確なアドバイスができるのはおそらくその状況を客観視できているからです。

この効果はさらに広い範囲に応用できて、なんとなく自分の考えがまとまらないというときはとりあえず声に出す、誰かに話すというのが効果的なのはやはり経験的にも明らかです。

いかがだったでしょうか?「そういわれてみれば、そうかもしれない。」と思うことが少しでもあったなら幸いです。30年前の本とは思えない考えさせられる部分が非常に多い本です。ぜひ皆様自身でご一読ください。

評価

※個人的な評価をとなります。

総合評価:

大変おすすめです。情報過多の現代に生きる我々が考えるべき内容が詰め込まれています。コンピュータがこれほどまでに発達した時代において、知識・情報の蓄積はほとんど役に立ちません。やはりそこから、「考える」という行為を通し、新たなものを生み出す必要があります。その「考える」という行為のコツを教えてくれるのが本書です。ぜひ皆様もご一読ください。

こんな人におすすめ

  • 「自分の頭で考える」ことの重要性を再認識したいという人
  • 「考える力」を高めたいという人

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