第16回 羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』

羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』

皆様、こんにちは。本日は、羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』(角川新書)をご紹介したいと思います。

羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』

感想

羽生さんの著作は、第8回 羽生善治『直感力』、さらに昨日の第15回 羽生善治『決断力』に引き続き、早くも3回目の登場となりました。

今回のタイトルはずばり「大局観」

これは、囲碁や将棋、チェスなどのボードゲームにおいて、局所的な読にとどまらず、盤面全体を見通す、さらには勝負の大きな流れを見通す能力のことです。

転じて、一般的には「大局を見て考える」などに言い表されるよう、「物事の全体像を見通すこと」を意味します。

棋士の方というのは、若い時は体力や計算力にまかせて「できるだけ多くの手を読む」という方向性で闘っているそうです。しかし、歳を重ねるにつれて体力や計算力は当然衰えます。そのため、それまでの豊富な経験を生かして「直感」「大局観」により「できるだけ読まない」という方向性で闘うそうです。

「経験を生かして」と書きましたが、ただ単に歳を重ねれば「経験」が身につくかというと、そうではない気がします。もちろん、普通に生活しているだけでも「経験」は蓄積されていくものですが、そのような経験はあまり役に立たないでしょう。

世の中では「新しい経験をする」「いろいろなことを経験してみる」という言葉が非常に積極的な印象を与えてくれます。やはり、自分にとって未知の分野を経験することは同じ時間の行為でも、のちに「良い経験」として役立つのでしょうか?

しかし、毎日毎日新たな経験を積むというのも難しい話です。そこで、羽生さんは、「知恵」をつけることが「直感」や「大局観」を生み出すと考えているそうです。

これは、前回の第15回 羽生善治『決断力』の内容と関連する部分が多いので、その記事をぜひ事前にお読みください。

「情報は生鮮食品と同じ」

まず、第15回では、将棋の定跡の話を交えて「知識」と「知恵」の関係について以下のように説明しました。

定跡というのは単なる「知識」であって、それを”自分の頭で考える”ことによって、「知恵」に昇華させなければならない。

この”自分の頭で考える”という行為がのちに「経験」となって生かされるのではないかと私は考えます。何か見たり聞いたりして「知っている」という状態ではまだ「経験」とは言えないと考えるのです。

理由は、上に示した羽生さんの言葉がまさにそれです。

情報というのは非常に価値があるのものです。世界中の研究者や開発者が未知の分野の知識を解明すべく、日々尽力しています。しかし、現代は急速なインターネットや電子デバイスの普及で、「誰でも、どこでも、いつでも」世界中の情報にアクセスすることが可能になりました。どんなに新しい情報でも、それが有用であればあるほど速く世界中にその情報は拡散します。つまり、単に情報(知識)を「知っている」という状況は何も特別なことではありません。仮に知らなかったとしても、スマホで調べればすぐに出てくるのですからやはり特別なことではありません。

さらに言えば、昔から「万物は流転する」とよく言われていますが、その変化のスピードがこれまでになく早いのも現代の特徴と言えます。情報の拡散の高速化と相まって、新しいと思われていた情報もすぐに古い情報に変わってしまうのです。生鮮食品に例えたように、確実に情報の価値は日々下落してしますのです。

そこで、単に情報を得るだけでなく、それについて自分で考えることが現代ではよりいっそう大切なのではないかと考えます。その情報(知識)が真に何を意味するのか、その情報(知識)を何かに役立てられないか、自分をそれについてどう考思うのかなどです。

言われれば当然大切な気がしますが、これは意外にも難しいです。皆様はニュースを見たり、詩文を読んだりしてから自分の頭で考えるという行動を日常的にとっているでしょうか?「結局、どうなるの?」「結局、なんなの?」他人が出した結論を深く考えることなしに受け入れていませんか?

他人といってもその記事の執筆者はもちろんその分野の専門家ですから、我々より正確な結論を導けるのは当然です。しかし、少々難しい話でも”自分の頭で考える”という行為が大切な「経験」になるのではないでしょうか?”自分の頭で考える”には当然ある程度の知識が必要です。そこでその分野について少しでも勉強し自分なりの考えを持つ。その行為こそが「知識」を”自分の頭で考える”ことで「知恵」に昇華させるということだと考えます。

そうした行為の積み重ねが「大局観」を育むことになると私は考えます。

評価

※個人的な評価をとなります。

総合評価:

「大局を見て考えろ」となにかと言われるものです。しかし、そう言われても一朝一夕でなせることではありません。それではそのために具体的にどうするべきなのか?その問いに対するヒントをもらえる気がします。あくまで「ヒント」です。やはり、その「答え」というのは”自分の頭で考えて”出すべきでしょう。

こんな人におすすめ

  • 物事全体を俯瞰した見方を身につけたいという人
  • 「大局観」とは何かを知りたいという人

人気ブログランキングに参加中です。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です