第4回 森内俊之『覆す力』

森内俊之『覆す力』

皆様、こんにちは。本日は森内俊之『覆す力』(小学館新書)をご紹介させていただきます。

森内俊之『覆す力 』

感想

今回も本の内容に入る前に著者の紹介をさせていただきます。

著者は棋士の森内俊之さんです。

私は将棋を趣味の一つとしていますので、個人的にはかなりの有名人なのですが、一般に有名な棋士といえば、天才の呼び声高い羽生善治さんかと思われます。その羽生善治さんの長年のライバルとして活躍し続けておられる方がこの森内俊之さんです。

将棋にはタイトル戦と呼ばれるあるタイトルをかけた棋戦が毎年開催されます。タイトルは全部で7つあり、それぞれ竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖です。このなかでも竜王名人に関しては特に名誉ある勲章とされています。

また、同一タイトルを一定の期数獲得、あるいは同一棋戦で一定回数優勝した場合、永世称号というものが授与されます。

著者である森内俊之九段(2017年2月現在)は2007年に永世名人の称号を獲得しています。

将棋においてもっとも歴史と格式のある名人位の永世称号ですから、その偉大さは語るまでもありません。また、この永世名人の資格を取得したのはあの羽生善治さんより早いというのも驚きです。

以上が簡単ながら著者の紹介といたします。

さて、ここからは本の内容について感想を述べさせていただきます。

この本の前半3分の2程度では森内さん自身の将棋人生が大まかに書かれています。将棋との出会いから小学生時代の羽生さんとの出会い、奨励会時代、プロに昇格して間もない若手時代、さらには初の名人戦から永世名人取得の道のりなどなど森内さんについてかなり多くを知ることができる内容となっております。

私が注目したのは、そうした将棋人生が終始羽生さんを意識して書かれていることです。

上で説明した通り、たしかに永世名人取得は森内さんが先でしたが、羽生さんはこの永世称号を7つ中6つ取得しおり、まさに天才です。

そうしたこともあり、終始「羽生さんとの差を感じた」「羽生さんに追いつけるように」などといった表現が出てきます。第5章の題を「羽生さんとの名人戦」としているところをみると、やはり羽生さんをかなり意識しているのでしょう。

「私と羽生さんの関係をよく”永遠のライバル”、”終生のライバル”などと言う人がいるが、自分ではそんなふうに思っていない。ライバルというのは、もっと拮抗した実力を持つ者同士のことを称するのではないだろうか。(中略)私にとって羽生さんは、ライバルというよりも、終わりなき将棋の道をともに歩き続ける仲間であり、永遠に追いかけ続ける目標だ。」

これは本文の一部引用ですが、この部分が森内さんにとって羽生さんの存在がいかなるものか端的に表しています。

「”逆転の妙手”はないが”逆転を許す悪手”はある」

私がもっとも強い印象を受けた表現がこの文です。

さすがに長年勝負師として第一線で活躍し続けておられる方の言葉には含蓄があります。

私の人生はそれほど長いわけではありませんが、振り返ってみれば勝負の場面の多くでこの言葉が当てはまる気がします。部活動の大会のとき大学受験のときなどなどです。

本番の勝負の場面で、普段の自分からみれば奇跡といえるような活躍ができたことはありません。それよりも「あの場面でミスさえしなければ」と振り返るときの方が圧倒的に多いです。

私は野球の試合をみることもとても好きで、シーズン中は頻繁に中継を見ます。中継が見れなかったとしても結果だけは必ずチェックします。

”シーズン中”、”中継”という単語からわかる通り、もちろんプロ野球の試合なのですが、そんな超一流のプレイヤーが集う場所でも、ファインプレーで勝ったという試合より、ミスをして負けたという試合が圧倒的に多い気がします。

かのイチロー選手も森内さんとほぼ同じ内容の発言をしていたので、引用します。

「びっくりするような好プレイが、勝ちに結びつくことは少ないです。確実にこなさないといけないプレイを確実にこなせるチームは強いと思います。」

やはり一流の勝負師の方々は似たような信念にたどりつくのでしょうか。

「二回目のミスが致命傷になる」

しかし、超一流のプロであれ、人間である以上ミスをします。

ここで上記の台詞があるわけですが、やはり考え方が一流です。

ミス自体が悪というよりは、一度ミスをすると続けてミスをしやすい精神状態になってしまうことが問題である、と語っています。これには皆様も納得していただけるかと思います。

人間としてミスは当たり前なのだから、その後ミスを続けず一度で済ませれば”逆転を許す悪手”にはなり得ない、という主張でしょうか。

まさにその通り!!

…なのですが、一度ミスをした後の切り替えこそが難しいんですよね(笑)

一流の方の言葉は大変参考になるのですが、私のような凡人が一朝一夕で真似するのは不可能です。このあたりにやはり一流の人との差を感じ、精進せねばと思わされます…

評価

※個人的な評価となります。

総合評価:

後半に書かれている森内さんの勝負哲学については間違いなくおすすめです。将棋に興味のない方でもこの部分はぜひ一読することをおすすめします。

-1とした理由は前半の将棋に関する記述が、興味がない人にとっては退屈かなと思われたからです。

一流の勝負師として活躍する方の哲学が書かれた貴重な書籍です。皆様もぜひ一読ください。

こんな人におすすめ

  • 大事な場面で結果を出したいという人
  • 単純に森内俊之さんの将棋人生に興味のある方
  • 一流の勝負師の考えを知りたいという方

 

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